The Chronicle of Broadway and me #746(Anna Nicole)

2013年9月@ニューヨーク(その6)

 『Anna Nicole』(9月27日19:30@BAM Haward Gilman Opera House)は、BAM(ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)とニューヨーク・シティ・オペラの共催によるオペラ公演。イギリスの作曲家マーク=アンソニー・タネジの作品で、初演は2011年のロンドン、ロイヤル・オペラ・ハウス。

 主人公アンナ・ニコル(・スミス)は実在の人物で、1967年ヒューストン生まれ。本名ヴィッキー・リン・ホーガン。スーパー・マーケット店員、ウェイトレス、ストリッパーなどの職業を経た後、1992年、雑誌「プレイボーイ」のプレイメイトとして「マリリン・モンローの再来」という謳い文句で芸能界デビュー。2年後に63歳年長の石油事業の大富豪J・ハワード・マーシャルと結婚。翌年マーシャルが亡くなる。そこから始まる遺産を巡る争いと、アンナ本人を含む関係者の連続した死(2006年マーシャルの息子E・ピアース67歳、同年アンナ初婚の息子ダニエル20歳、2007年アンナ39歳)。
 その他、書けばきりがないほどのスキャンダルまみれの人生。その虚飾に満ちた半生を題材にしたのが、このオペラ。というわけで、全体の雰囲気は金ピカで狂騒的。
 おそらく、ミレニアム前後の浮かれるアメリカ社会の裏表を象徴的/風刺的に描く意図があったのではないかと思う。

 オペラ台本はリチャード・トーマス(『Jerry Springer: The Opera』)。
 演出はロイヤル・オペラ・ハウスと同じくリチャード・ジョーンズ。指揮スティーヴン・スローン。演奏はニューヨーク・シティ・オペラ・オーケストラ。
 ジャズにも傾倒するマーク=アンソニー・タネジらしく、劇中ジャズ・トリオも登場する。

 アンナ・ニコル役はサラ・ジョイ・ミラー。J・ハワード・マーシャル役ロバート・ブルーベイカー。アンナの母ヴァージー役はロンドン版と同じスーザン・ビックリー。アンナの父ホーガン役ジェイムズ・バーバー(『Cyrano: The Musical』『Jane Eyre』『Assassins』『A Tale Of Two Cities』『Donnybrook!』)。
 他に、メアリー・テスタ(『On The Town』『Marie Christine』『42nd Street』『See What I Wanna See』『Xanadu』『Queen Of The Mist』)、クリスティーナ・サジュー(『American Idiot』『Baby It’s You!』『Forever Dusty』『I’m Getting My Act Together And Taking It On The Road』)も出ていた。

 BAMを訪れたのは、これが初めて。日本の都会に比べるとマンハッタンも夜の街路は暗く感じるが、ブルックリンはさらに暗かった。
 
ニューヨーク・シティ・オペラは、この公演を最後に一旦倒産する(その後、復活)。

 

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