The Chronicle of Broadway and me #714(Forever Dusty/A Civil War Christmas)

2012年11月@ニューヨーク(その6)

 史実に基づいたオフの2作品(というやや強引なくくりで)。

 『Forever Dusty』(11月23日14:30@Stage 5/New World Stages)には、「A New Musical About The Legendary Dusty Springfield」という副題が付いている。イギリス出身のブルー・アイド・ソウル・シンガー、ダスティ・スプリングフィールドの伝記的“ジュークボックス”・ミュージカル。
 華やかな活躍の陰で多くの屈折を抱えていたダスティの半生が、けっこう痛々しく描かれる。ことにレズビアンであったことは、1960年代という時代の中で、彼女に重くのしかかる。また、後半生(と言っても亡くなった時はまだ59歳だったが)はアルコールやドラッグで苦しむことになる。

 ダスティを演じていたカーステン・ホリー・スミスが、ジョナサン・ヴァンキンと共に脚本を書いている。
 演出ランダル・マイラー(『It Ain’t Nothin’ But The Blues』『Love, Janis』『Hank Williams: Lost Highway』『Good Ol’ Girls』)。
 ダスティの恋人役はクリスティーナ・サジュー(『American Idiot』『Baby It’s You!』)。

 『A Civil War Christmas』(11月23日20:00@New York Theatre Workshop)が基にしている史実は南北戦争。
 ストレート・プレイ『How I Learned To Drive』でピュリッツァー賞を受賞した劇作家ポーラ・ヴォーゲルの作品で、南北戦争当時に歌われていた楽曲が使われている。というわけで、ミュージカルと言うよりは音楽劇の様相。
 1864年、ワシントンD.C.とその周辺。大統領リンカーンから名もなき黒人奴隷まで様々な立場の人々が、南北戦争という混乱の中でクリスマス・イヴを迎えている、という設定。
 セットのほとんどない小さな空間で、11人の出演者が、即興劇のように複数の役を瞬時に入れ替わって演じつつ、それぞれの物語を紡いでいく。

 演出ティナ・ランドウ(『Floyd Collins』『Dream True』『An Evening With Adam Guettel』『Bells Are Ringing』『Miracle Brothers』『A Midsummer Night’s Dream』)。
 アリス・リプリー(『The Who’s Tommy』『Side Show『James Joyce’s The Dead』『The Rocky Horror Show』『The Baker’s Wife』『Next To Normal』)が出ていた。