The Chronicle of Broadway and me #479(Xanadu)

2007年7月@ニューヨーク(その2)

 『Xanadu』(7月15日15:00@Helen Hayes Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<タイトル曲をはじめとする複数のヒット曲を生み出した、オリヴィア・ニュートン=ジョン主演の同名ミュージカル映画(1980年)の舞台化。久々の、ある種の“ジュークボックス・ミュージカル”だ。
 映画版の出来は、伝説のミュージカル俳優ジーン・ケリーを引っ張り出しておきながら、ご都合主義のストーリーと、それを補うためのCG処理のチープさが相まって、かなり凡庸。その2年前に大ヒットした映画版『Grease』のニュートン=ジョン人気に便乗した作品、と言われてもしかたのないところ。
 にもかかわらず舞台版は、意外にも面白い。なぜなら、凡庸な映画版のご都合主義そのものをパロディとして茶化し、ストーリーは大筋そのままながら、キャラクター設定をコミカルに変えて細かい表現で徹底的にふざけてみせるからだ。
 しかもキャストは実力派ぞろい(ジーン・ケリーのやった役はトニー・ロバーツ!)。おかげで、けっこう笑えて楽しめる舞台に仕上がった。最近の好ましからざる傾向に沿った1幕ものなのが残念だが、まずは一見の価値あり。
 ただし、舞台上の席は物好き以外は避けた方がいい。また、左右の席は見切れるので要注意。>

 楽曲クレジットはジェフ・リン&ジョン・ファーラーとなっているが、それぞれが単独で書いた映画版楽曲から選曲されている。加えて、ジェフ・リンが書いたELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のヒット曲「Evil Woman」やジョン・ファーラーがオリヴィア・ニュートン=ジョンに書いた「Have You Never Been Mellow」(邦題:そよ風の誘惑)が使われていたりもする。
 脚本は映画版(リチャード・クリスチャン・ダナス&マーク・リード・ルベル)を元に、ダグラス・カーター・ビーンがとことん改変している。
 演出クリストファー・アシュレイ(『The Rocky Horror Show』『All Shook Up』)、振付ダン・クネクテス(『The 25th Annual Putnam County Spelling Bee』『110 In The Shade』)。

 「実力派ぞろい」のキャストは前述のトニー・ロバーツ以外に、メアリー・テスタ(『On The Town』『Marie Christine』『42nd Street』『See What I Wanna See』)、ジャッキー・ホフマン(『Hairspray』)というクセモノ2人(デュエットする「Evil Woman」が大受け)。“オリヴィア・ニュートン=ジョン役”と呼びたくなるほど映画版のイメージを意識して笑わせてくれるヒロインはケリー・バトラー(『Bat Boy: The Musical』『Hairspray』『Little Shop Of Horrors』)。その相手役は『All Shook Up』の主人公だったシャイアン・ジャクソン(ブロードウェイ版『Saturday Night Fever』の主役だったジェイムズ・カルピネロが演じていたが、プレヴュー期間中にカルピネロが足を骨折したため交替)。他に、アニカ・ラーセン(『Zanna, Don’t!』『All Shook Up』『Miracle Brothers』)、カーティス・ホルブルック(『Taboo』『All Shook Up』)、カニタ・R・ミラー等。

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