The Chronicle of Broadway and me #668(Lysistrata Jones)

2011年11月@ニューヨーク(その2)

 『Lysistrata Jones』(11月23日20:00@Walter Kerr Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<夏にオフで短期公演を行なってからブロードウェイにやって来たのが『Lysistrata Jones』
 元ネタは、紀元前411年初演とされるアリストパネス(アリストファネス)のギリシア喜劇『Lysistrata』(翻訳邦題:女の平和)らしいが、そちらがセックス・ストライキの行使で女性が男性の戦争を止めさせようとするのに対し、こちらは逆にセックス・ストライキで戦いを鼓舞する、という違いがある。もっとも、こちらの設定は現代で、“戦い”と言っても大学のバスケット・ボール対校戦だが。
 そうした男(バスケット・ボール部)と女(チア・リーダー)の駆け引きが引き鉄になって、様々なカップルがギクシャクし始め、同時に同性同士の新たな関係が生まれていく、というミュージカル・コメディ。

 これも、『High School Musical』ブームの産物か。と一瞬思うが、むしろ、そのパロディなのだろう。
 なにしろ、『Xanadu』の主要スタッフ(脚本ダグラス・カーター・ビーン、演出・振付ダン・クネクテス)が関わっているだけあって、登場人物たちのとぼけたキャラクターが面白く、そこが最大の見どころになっている。ことに、リンゼイ・ニコル・チャンバーズ演じるロビンのやさぐれた感じはウケた。
 バスケット・ボールのプレイやチア・リーダーの動きを前提としたダンスの数々も躍動感があって楽しい。
 が、スケール感は、やはりオフのもので、そういう意味では物足りなさが残るのも事実ではある。>

 作曲・作詞ルウィス・フリン。

 リストラータ・ジョーンズ役のパティ・ミュリンは『Xanadu』のスウィングでブロードウェイ・デビューした後、この作品で主演。7年後の『Frozen』ではアナ役に。
 主な出演者は他に、上記のリンゼイ・ニコル・チャンバーズ、リズ・マイケル、ジョシュ・セガーラ(後に『On Your Feet!』)、ジェイソン・タム(後に『Be More Chill』)。