The Chronicle of Broadway and me #770(If/Then)

2014年3月@ニューヨーク(その4)

 『If/Then』(3月28日20:00@Richard Rodgers Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『Rent』のオリジナル・キャスト(イディナ・メンゼル、アンソニー・ラップ)と『Next To Normal』の作家陣(作曲トム・キット、作詞・脚本ブライアン・ヨーキー、装置マーク・ウェンドランド)、そして両作の演出家(マイケル・グリーフ)が組んだ新作。
 『Rent』『Next To Normal』には、オフから登場して好評価を得た後、オンに移ってトニー賞を複数のカテゴリーで受賞し、興行的にも成功した、という共通点がある(日本では、どちらもシアタークリエで翻訳上演されたという共通点もある)。この舞台にもオフ的な斬新な感覚があり、語り口は必ずしも平易ではない。その辺が前2作と同じようにウケるのかどうかが興行的には岐路だろうが、個人的には、そこが面白かった。

 とはいえ、“時に人生は何気ない判断で大きく変わっていく、かも”という、タイトルにも表われた、やや哲学的な色合いのテーマを、恋愛+マンハッタン都市開発の是非という問題に絡めた内容は、凝った表現と相まって、自分の英語力では十全には理解しがたいものだったと告白しておこう(笑)。
 ま、ざっくり言えば(笑)、現代のマンハッタンに住む若者たちのある種の青春群像劇。もっとも、彼らは、『Rent』の登場人物たちほど貧しくはなく、年齢もやや高い。そんな印象。
 メンゼルとラップの役柄の関係が『Rent』のモーリーンとマークの関係に似ていたりするのは、やはり狙いなのだろうか。
 時間があれば再見したいが、どこまで続くか。

 メンゼルは当然のことながら完全にスター扱いで、それに応える好演だが、モーリーン(『Rent』)→エルファバ(『Wicked』)→エルサ(映画『Frozen』)と、歌う楽曲に関しては“歌い上げ”のイメージが固定化していく傾向にあるのが個人的には気になっていて、今回それを打破してくれることを期待したが、結果は微妙(あくまで個人的な期待ですので、あしからず)。
 役者では他に、メンゼルの親友役でラシャンズ、メンゼルの上司的役でジェリー・ディクソンと、『Once On This Island』のオリジナル・キャストが揃って登場したのがうれしい。>

 出演者は(さらに)他に、ジェイムズ・スナイダー(『Cry-Baby: The Musical』)、ジェン・コレッラ(『Urban Cowboy: The Musical』『Slut』『High Fidelity』『Come From Away』『Chaplin』)、ジェイソン・タム(『A Chorus Line』『Lysistrata Jones』『Marry Me A Little』後に『Be More Chill』)、タミカ・ローレンス(『Matilda The Musical』)等。

 振付ラリー・ケイグウィン。

 3月5日プレヴュー開始、3月30日正式オープンで、翌年の3月22日まで続いているが、結局再見はしていない。トニー賞では2部門で候補になったが受賞はなかった。

 この作品もシアタークリエでの翻訳上演が2021年1月から2月にかけて予定され、チケットを押さえたが、関係者に新型コロナ感染者発生のため、それに続く名古屋、大阪公演も含めて全公演が中止になった。

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