The Chronicle of Broadway and me #872(In Transit[3])

2016年11月@ニューヨーク(その6)

 『In Transit』(11月19日14:00@Circle In The Square)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

2008年の役者が脚本を携えてのリーディング2010年のセットを備えた通常上演と、過去にオフ公演を観てきた小規模な作品で、まさかブロードウェイに来るとは思わなかった。劇場がブロードウェイでは最も小さいサークル・イン・ザ・スクエアなのも宜なるかな、だ。

 内容は、タイトルの通り、ニューヨークの地下鉄を舞台にした群像劇で、いくつかのエピソードを交互にうまく織り込みながら、都会に暮らす人々の哀歓を描き出す。地味だが、うまく作られてはいる。
 特徴は、人力(声+鼻息?)で複雑なビートを生み出すヒューマンビートボックスを軸にした完全なア・カペラ・ミュージカルなこと。こぢんまりした内容に相応しい音楽ではあるし、メリハリも効いていて悪くない。
 が、この手法、2008年や2010年の時点でなら舞台世界ではまだ新鮮味があったが、2011年に『Voca People』という、やはりヒューマンビートボックスが軸のア・カペラ・ミュージカルが登場して話題になったこともあるし、その点での商品価値は下がった。
 そういう意味でも、この作品に限っては、わざわざオンで幕を開けた意味は見出せなかった。まあ、“ブロードウェイ・ミュージカル”という冠でツアーに出られるから、それはそれでいいのかもしれないが。>

 作曲・作詞・脚本クリステン・アンダーソン=ロペス(『Frozen』)、ジェイムズ=アレン・フォード、ラッセル・M・カプラン&サラ・ワーズワース。原案は以上の4人に、グレゴリー・T・クリストファー、カーラ・モンバーガーを加えた6人。
 上掲写真の右下のポスターに、制作陣に『Frozen』『Pitch Perfect』のスタッフがいる旨が書かれているが、『Frozen』のスタッフは上記の通り。で、『Pitch Perfect』はヴォーカル・アレンジメンツのディーク・シャロン。
 このブロードウェイ版の演出・振付はキャスリーン・マーシャル(『Swinging On A Star』『1776』『Kiss Me, Kate』『Seussical』『Follies』『Little Shop Of Horrors』以上振付のみ、『Wonderful Town』『The Pajama Game』『Grease』『Anything Goes』『Nice Work If You Can Get It』以上演出/振付)。

 出演者は、2010年のオフ版で加わったヒューマンビートボックス担当のチェズニー・スノウ以外は全員替わっている。でもって、4人増えている。
 ブロードウェイ版で加わった出演者には、『Rocky』のエイドリアン役マーゴ・サイバート(『Ever After』『Octet』)、『Cry-Baby: The Musical』の主演ジェイムズ・スナイダー(『If/Then『Ever After』)、『Aamzing Grace』でヒロインを演じたエリン・マッケイ(『Sondheim On Sondheim』『Chaplin』)、『Aladdin』で長く主演をやっていたテリー・レオン(『Flower Drum Song』『Pacific Overtures』『Godspell』『Allegiance』)らがいた。

 翌年4月16日、トニー賞授賞式を待たずに閉幕。

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