The Chronicle of Broadway and me #669(Bonnie & Clyde)

2011年11月@ニューヨーク(その3)

 『Bonnie & Clyde』(11月26日20:00@Schoefeld Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<日本でも翻訳上演が決まっている『Bonnie & Clyde』は、11月4日プレヴュー開始、12月1日正式オープンの後、12月30日に幕を下ろしてしまった。
 2007年版『Grease』のローラ・オスネスと『Newsies The Musical』(来春ブロードウェイ登場予定)のジェレミー・ジョーダンというイキの/いい2人を主役に据えて、ブロードウェイの(あるいはアメリカの)現状に釘を刺す新鮮な舞台を作ろうとしたようだが(演出も『Newsies The Musical』のジェフ・カルホウン)、残念ながら平板な印象に留まった。

 原因は2つ。
 1つは、鮮烈な印象が公開後40年以上経つ今も消えない映画版(『Bonnie And Clyde』邦題:俺たちに明日はない)に比べ(ほとんどの観客が無意識の内にも比較したはず)、ボニーとクライドがカッコよくなかったこと。
 もとより、それが狙いなのだろう。幼く無防備で無鉄砲な2人は、けっして美しくはない。その背景にあるものも含めてドラマとして描きたかったのだと思う。しかし、映画の印象を凌駕する表現には到らなかった。おそらく、何か別の視点が必要だったのではないか(脚本イヴァン・メンチェル)。
 もう1つの原因は、ますます凡庸になるフランク・ワイルドホーン(作曲)の楽曲にある(作詞ドン・ブラック)。この舞台のTVやラジオで流れるCMでも使われていたジャズ・ソングっぽいバラードがかろうじて印象に残る程度で、それすらも、どこかで聴いたような気配があった。
 ワイルドホーン、そろそろ考えどころでは?>

 相変わらずワイルドホーンに対して厳しい(笑)。
 フランク・ワイルドホーンの最高傑作『Jekyll & Hyde』は、“気取りのない”アンドリュー・ロイド・ウェバーという色合いが面白かったのだが、次作『The Scarlet Pimpernel』がブロードウェイで迷走して以降、本人も迷走。あれこれと作風を変えたりするうちに、彼ならではというべき特色が薄れていき、「どこかで聴いたような」二番煎じ感が漂うようになった。
 そんな中、本来の色を取り戻したのが『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』。こういう“あざとい”路線はぴたりとハマる。これからも、こういう路線でご活躍いただきたい。『四月は君の嘘』とかではなく。

 演出のジェフ・カルホウンが振付も担当。

 主な出演者は上記の主演2人の他に、メリッサ・ヴァン・ダー・スケイフ(『Big River』)、クレイボーン・エルダー、ジョー・ハート(『The Best Little Whorehouse Goes Public』)、ルイス・ホブソン(『Next To Normal』)。

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