The Chronicle of Broadway and me #729(Jekyll & Hyde)

2013年4月@ニューヨーク(その2)

 『Jekyll & Hyde』(4月28日14:00@Marquis Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『Jekyll & Hyde』の初演は1997年5月に観ていて、「好みではないがオススメ」と妙な褒め方をしている。もう少し詳しい部分を引用すると、「好みは別にして、確実に記憶に残る楽曲をここぞというところで繰り出してくるのは見事。」となる。
 ちなみに、どんな言い回しにせよ、フランク・ワイルドホーン(作曲)の作品を褒めたのは後にも先にも、この時だけ。作詞・脚本はレズリー・ブリカッス。思えば彼の功績だったのかも。
 いずれにせよ、個人的には『Jekyll & Hyde』は“ハズさない”作品として記憶されていた。

 で、21年ぶりにブロードウェイに登場した新版やいかに、だが、これが物足りない印象。当初から期間限定公演として始まったが(4月5日にプレヴュー開始、18日に正式オープン)、予定(6月30日)より1か月半早い5月12日に幕を下ろしたのは、やはりウケが悪かったのだろう。
 今回のリヴァイヴァルの目玉は出演者、カナダ出身の歌手として知られるデボラ・コックスと、『Rock Of Ages』でトニー賞の主演男優賞にノミネートされた「アメリカン・アイドル」出身の俳優にして歌手コンスタンティン・マルーリスの共演。それに尽きる。
 コックスの歌は、さすがに聴かせた。が、ジェフ・カルホウンの演出は、この人の常で、そつなくまとめるが凡庸。初演の最大の見どころ(聴きどころ)だった、特殊効果を使わないジキルとハイドの葛藤(連続変身)場面も、マルーリスの力量不足もあると思うが、なんだか、あっさりしていた。
 “ハズさない”作品とはいえ、役者と演出の力がなければ成り立たないのだ、と、当たり前のことを再認識したしだい。>

 フランク・ワイルドホーンの作品を次に褒めることになるのは『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』。“あざとい”路線はぴたりとハマる、というのがワイルドホーンに対する個人的見解。
 これ以前のジェフ・カルホウンの携わった主な作品は、『Tommy Tune Tonite!』(演出)『The Best Little Whorehouse Goes Public』(振付)『Grease!』(演出・振付)『Annie Get Your Gun』(振付)『Big River』『Brooklyn: The Musical』(演出・振付)『Grey Gardens』(振付)『Newsies The Musical『Bonnie & Clyde』(演出・振付)。