The Chronicle of Broadway and me #798(Allegro)

2014年11月@ニューヨーク(その5)

 『Allegro』(11月29日15:00@Classic Stage Company)は、リチャード・ロジャーズ(作曲)&オスカー・ハマースタイン二世(作詞・脚本)作品の中では上演される機会の少ない作品の1つ。
 『Oklahoma!』『Carousel』に続く同コンビの3作目で、1947年10月オープン、1948年7月クローズと初演は短命に終わり、以来ブロードウェイでの再演はない。アグネス・デ・ミルの演出・振付が画期的だったらしいが、知るすべがない。ただし、楽曲「The Gentleman Is A Dope」はカヴァーされることも多く、広く知られている。
 この曲についてはニューヘイヴンでのトライアウト時の次のような驚くべきエピソードがある。
 初演で歌ったのはリサ・カーク。歌いながら彼女はオーケストラ・ピットに落ちてしまう。ところが、歌を中断することなく“跳ね返るように”ステージに再登場。大喝采を受けたという。“跳ね返るように”って、ビヨ~ン!って感じでしょうか(笑)。

 閑話休題。
 内容について。
 田舎町の医師の息子として生まれ、やがて本人も医師になる主人公の30代半ばまでの道のりを綴った作品。うまくいかなかった結婚、志を違えての都会での就職、等々を経て再び家に戻る主人公。作者たちは彼を通して、20世紀前半、近代化から大恐慌を経て第二次世界大戦を迎える前までのアメリカ社会と市井の人々の変化を描こうとしたようにも見える。

 演出はジョン・ドイル。なので……ってこともないが(笑)、役者が楽器を演奏しながら演技するのが特徴(例『Sweeney Todd』『Company』)。ギター、バンジョー、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、フルート等。そのアメリカーナなサウンドが、内容の時代や地域とマッチした雰囲気を醸し出すのが効果的(音楽監督・編曲は『Carrie』のメアリー=ミッチェル・キャンベル)。
 アップライト・ピアノと数脚の椅子/ベンチのみが置かれたシンプルなセットと相まって、作品の素朴な本質が見えるような舞台だった(いつものように装置デザインもドイル)。

 出演は、クレイボーン・エルダー(『Bonnie & Clyde』)、マルコム・ゲッツ(『Amour』『The Story Of My Life』)、ジェシカ・タイラー・ライト(『Company』『LoveMusik』)、エリザベス・A・デイヴィス(Once)、アルマ・クエルヴォ(『Titanic』『Road Show』『Women On The Verge Of A Nervous Breakdown』)他。

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