The Chronicle of Broadway and me #799(Disenchanted!)

2014年11月@ニューヨーク(その6)

 『Disenchanted!』(11月30日19:30@Theater At St. Clement’s)は、ディズニー映画『Enchanted』(2007年)や、その続編で先頃(2022年)ディズニー+で配信の始まった『Disenchanted』と、タイトルも趣向も似ているが別物。アラン・メンケンとは関係がない。

 似ている趣向とは、おとぎ話の「その後」を描いているところ。ただし、こちらでは、プリンセスたちが舞台に勢揃いして、物語の最後の決まり文句「Happy ever after」(いつまでも幸せに暮らしましたとさ)に異議を唱える。印象としては、fairy tale版『SIX: The Musical』
 逆に、『SIX: The Musical』のスタイルはこの作品の影響下で生まれたんじゃないか、とすら思うほど見似ている。奇しくも演じるのは6人だし。アジア系、アフリカ系の役者もいるし。楽曲も『SIX: The Musical』に通じる押しの強いナンバーが多く、コンサートのノリに近い。
 ただ、あちらに比べると、音楽も演出も、よりシアトリカルではある。

 登場するプリンセスは、白雪姫、シンデレラ、眠れる森の美女、ベル(美女と野獣)/人魚姫/ラプンツェル、ムーラン/ポカホンタス/バドルウルバドゥール(アラジン)、蛙とキスした姫(この内、/で区切った役は同じ役者が演じる)。
 全てディズニーがアニメーションにしている話のプリンセスばかり。実際、歌でもディズニーに言及しているし、衣装の印象も近しく作られている。なので、そこは狙いの内なのだろう。

 作者(作曲・作詞・脚本)はデニス・T・ジアシノ。演出のフィーリー・A・マティアスと組んで長年、小規模なミュージカルを作り続けてきた人のようだ。
 そんな彼らの(おそらく)最大のヒットとなったのが本作なのと思われる。このセイント・クレメント教会内にある劇場での上演の後、やはりオフのウェスト・サイド劇場に移って翌2015年6月まで公演を続け、その後は、全米各地のみならず世界各国をツアーで回っている。

 振付のマット・ウェスト(『Lestat』)がブロードウェイ版の『Beauty And The Beast』を手がけた人だというのが面白い。

 

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