The Chronicle of Broadway and me #684(Once)

2012年3月~4月@ニューヨーク(その5)

 Once(4月1日15:00@Bernard B. Jacobs Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<同名映画の舞台ミュージカル化(映画には日本公開時に「ダブリンの街角で」という副題が付いている)。
 今回観たブロードウェイ作品の中で最もグッと来たのが、これ。

 大筋は映画と同じだが、脚本は舞台版の方がはるかに細かく描き込まれていて、脇の人物たちもいきいきしている。そうしなければ、映像の魅力で、ある程度観客を惹きつけられる映画と違って、舞台が成り立たないからなのだが、その膨らませた部分が吉と出た。
 もう1つ、役者たちが全ての楽器を演奏しているのも、テーマに沿って大きな意味があり、舞台をより刺激的にした(客入れの時から舞台上で役者たちがパーティっぽく演奏しているのも雰囲気作りに寄与している)。
 ダブリンの街角で出会った男女(男はアイルランド人、女はチェコ人)が愛する音楽を通じて心を通わせる、という、何ということのない話だが、前述したように映画以上に周辺の人物たちにも場が与えられ、より広い意味での人と人とのつながりが描き出される。
 基本の舞台装置が、客席に向かって半円状に開いた、ダブリンのパブをイメージさせる壁だけ、というシンプルさもいい。
 トニー賞の候補になったスティーヴン・ホゲットの振付は、いわゆる踊りではなく不思議な役者の動きで(プレイビルにも“ムーヴメント”とクレジットされている)、これが新鮮。
 楽曲も素晴らしい。必見。

 ちなみに、主演女優が代役(クリスティン・ミリオッティ→アンドレア・ゴス)だったが、全く不満なし。ではあるが、これは次回、迷いなく観直す予定。>

 前年(2011年)暮れから新年にかけてのニューヨーク・シアター・ワークショップでのオフ公演はソールド・アウトで観られなかった。その評判を受けてのオン公演。

 作曲・作詞グレン・ハンサード&マルケタ・イルグロヴァ。脚本エンダ・ウォルシュ(映画脚本・監督ジョン・カーニー)。
 演出のジョン・ティファニーと振付スティーヴン・ホゲットは後に再び『Harry Potter And Cursed Child』で組むことになる。

 主演男優はスティーヴ・カズィー(『110 In The Shade』)。

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