The Chronicle of Broadway and me #695(Anything Goes[3]/Once[2]/Kristin Chenoweth World Tour)

2012年5月~6月@ニューヨーク(その8)

 再見のブロードウェイ2作とコンサート1本をまとめて。

 『Anything Goes』(5月30日20:00@Stephen Sondheim Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<またまた観たのは、サットン・フォスターの降りた後を確かめたかったのもあるが、水曜夜、他に観たいものがなかったという消極的な理由もある。最近、オフの公演日が木曜から日曜にかけてというものが多くなっていて、今回も、観たいが水曜夜はやっていないという演目が複数あった。残念。

 さて、フォスターに代わってリノ・スウィーニィを務めるのはステファニー・J・ブロック。ブロードウェイでもいろいろ出ている人だが、個人的には『The Boy From Oz』のライザ・ミネリ役が印象深い。
 というわけで、もちろん(高いレヴェルで)歌って踊れるのだが、フォスターのあの長い手足が目に焼きついているので、ダンス・シーンでは微妙に違和感がある。やはり、フォスターにとっては、あれが武器なのだな、と改めて思ったしだい。
 それを除けば今回も楽しく観ました。>

 他に替わっている主な出演者は、ハーコート夫人役ジュリー・ホルストン(『Gypsy』)、オークリー卿役ロバート・ペトコフ(『Fiddler On The Roof』『Ragtime』)、ホープ役エリン・マッキー(『Sondheim On Sondheim』)、ビリー役ビル・イングリッシュ。
 過去の感想は→前々回前回

 『Once』(6月1日20:00@Bernard B. Jacobs Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

前回、代役で観られなかったトニー賞候補主演女優クリスティン・ミリオッティを観るために……というのを口実に『Once』を再見。いやあ、素晴らしい。小品ですけどね。
 おそらく、このオン公演を見据えてのことだと思うが、元々は昨年の11月半ばから 今年1月半ばにかけて、Peter And The Starcatcher同様ニューヨーク・シアター・ワークショップで上演されていた。残念ながら、その時はチケットを入手できなかった。が、ブロードウェイの舞台でも立派に映える。
 でもって、クリスティン・ミリオッティは素晴らしかった。当世風に言えば若干“不思議ちゃん”の入ったキャラクターを演じて不自然さがなく、魅力的に見せている。加えて、抑えた悲しみも静かに表出させ、じんわり感動させる。残念ながらトニー賞は逃しましたがね。
 ともあれ、興味のある方には早めの観劇をオススメします。この手の舞台は旬が短い気がするので。>

 クリスティン・ミリオッティ及び主演男優スティーヴ・カズィーは翌2013年の3月24日まで出演。ショウ自体は2015年1月4日まで続いている。

 『Kristin Chenoweth World Tour』(6月2日20:00@City Center)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<いつもはリヴァイヴァル・シリーズ“アンコールズ!”を観に行くシティ・センターに登場したのは、『Kristin Chenoweth World Tour』。あのクリスティン・チェノウェスをモデルにした実録物語、というわけではもちろんなく、彼女の1回限りのコンサート。一応、ブロードウェイの出演作(プレイを除く)をみんな観ているので、ここはハズせないだろう、とチケットを獲った。
 実のところ、舞台を離れて彼女のソロCDを聴いているとイマイチ魅力を感じなかったりするのだが、生で観ると俄然惹きつけられる。しかし、強いノドだなあ。
 面白かった趣向は、『Wicked』コーナーの2曲。1曲は「Populer」で、日本語を含む数か国語で歌ったこと。もう1つは、グリンダ(チェノウェス)がエルファバとデュオで歌う「For Good」で、エルファバ役を客席から募ったのだが、出てきた15歳の少女のうまかったこと。アメリカン・アイドルを観ている気分だった。>

 演出リチャード・ジェイ=アレグザンダー。振付タイラー・ヘインズ。音楽監督メアリー=ミッチェル・キャンベル(『Carrie』)。
 客席から出てきた少女は、おそらく仕込みだと思うが、それでもお見事。