The Chronicle of Broadway and me #757(Little Miss Sunshine)

2013年11月@ニューヨーク(その8)

 『Little Miss Sunshine』(11月24日15:00@Tony Kiser Theatre/Second Stage Theatre)は、同名映画(2006年)の舞台ミュージカル化。

 映画は小規模作品ながら、中身の面白さでヒットした。
 ニューメキシコのアルバカーキ。夫婦とロウティーンの娘、妻の前の結婚での息子、妻の兄、夫の父親が、いろんな事情があって一緒に暮らしている。彼らはそれぞれ一般的な常識で測ると少しずつクィア(奇妙)に見える面々。そんな中、娘がカリフォルニアのレドンド・ビーチで開催される「リトル・ミス・サンシャイン」コンテストへの参加が決まり、これまた様々な事情により家族全員で、マイクロバスを運転してコンテスト会場まで長距離ドライヴに出かけることになる。その道中で起こるあれこれ(バスが故障したり、警察に捕まったり、老人が亡くなったり)や、ようやくたどり着いたコンテスト会場でのすったもんだのあげく、いろいろと力を合わせて苦難を乗り越えた家族は、「リトル・ミス・サンシャイン」とは縁がなかったものの、なんだかハッピーになる。
 そんな話。

 作曲・作詞ウィリアム・フィン、脚本・演出ジェイムズ・ラパインという『Falsettos』『The 25th Annual Putnam County Spelling Bee』のコンビと、クィアな人々が出てくるという作品内容の相性のよさ、上昇気流に乗っていたセカンド・ステージでの公演。個人的な期待の高まる要素が揃ったが、残念ながら舞台の出来はそれほどでもなかった印象がある。
 ひとつには、映画での家族の面々の描かれ方があまりに面白かったからではないかと思う。こちらの期待が大き過ぎたというか。
 もうひとつは、ウィリアム・フィンの楽曲が過去の諸作に比べてイマイチだった、という記憶。オリジナル・キャストの音源はYouTubeで聴くことができる。

 出演は、母親役ステファニー・J・ブロック(『The Boy From Oz』『The Pirate Queen』『9 To 5』『Anything Goes』『The Mystery Of Edwin Drood』)、その兄役ロリー・オマリー(『The Book Of Mormon』『Nobody Loves You』)、夫役ウィル・スウェンソン(『Lestat』『110 In The Shade』『Hair』『Priscilla Queen Of The Desert』)、その父親役デイヴィッド・ラーシー等。他に、ジョシュ・レイモン(『Hair』『Elf』)、ジェニファー・サンチェス(『West Side Story』『Women On The Verge Of A Nervous Breakdown』『Ghost: The Musical』『I’m Getting My Act Together And Taking It On The Road』)も出ていた。