The Chronicle of Broadway and me #636(The Book Of Mormon)

2011年3月~4月@ニューヨーク(その5)

 『The Book Of Mormon』(3月31日20:00@Eugene O’Neill Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<モルモン教のミュージカルって? と恐る恐る観に行ったら、予想と違って爆笑もので、かつ考えさせられるところが多かったのが、これ。それもそのはず、こちらは、 TVアニメ『South Park』の作者、トレイ・パーカーとマット・ストーンのコンビが、『Avenue Q』の作者の1人、ロバート・ロペスと組んで作った作品だった!
 ソルト・レイク・シティの本部で教育を受けたモルモン教の布教員たちが2人1組で世界各地に送り出される。で、ウガンダ行きを命じられるのが、エリート意識の強い好青年とお調子者のオタクのコンビ。
 この2人、ウガンダの過酷な現実としたたかな人々を前に、追いつめられて、神をも恐れぬ椿事を巻き起こす。
 人間て、みんな笑えるくらいヘンだけど、わかりあえないわけでもないよね、という、ある種の楽観主義が、辛辣極まりないギャグをOKにしてしまう。そのバランス感覚が素晴らしい。
 生気溢れる音楽も楽しい。
 ネタがネタだけに、トニー賞に関しては予測不能だが。>

 モルモン教の正式名称は、日本では「末日聖徒イエス・キリスト教会」。コナン・ドイルがシャーロック・ホームズ第1作「A Study In Scarlet」(緋色の研究)の中で同教団について誤解と偏見に満ちた描き方をしているが、19世紀の時点では周囲から奇異の目で見られていたことも事実なのだろう。
 この作品での描かれ方も、ある意味その延長線上にあると言えなくもないが、ウィキペディアによれば、教団は好意的に受け取ったらしい。

 ロバート・ロペス、トレイ・パーカー、マット・ストーンの3人の作曲・作詞・脚本。
 演出はトレイ・パーカーと振付のケイシー・ニコロウが共同で。
 トニー賞では作品賞を含む大量受賞となり、今日までロングランが続いているのは、ご承知の通り。

 出演は、エリートがアンドリュー・ラネルズ、オタクがジョシュ・ギャッド。
 他に、ウガンダの女性ナブルンギ役でニッキ・M・ジェイムズ(『The Adventure Of Tom Sawyer』『All Shook Up』)、ウガンダの男性マファラ・ハティンビ役マイケル・ポッツ(『Lennon』『Grey Gardens』)、在ウガンダ宣教師マッキンリー役ロリー・オマリー。

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