The Chronicle of Broadway and me #579(Ragtime)

2009年11月@ニューヨーク(その4)

 『Ragtime』(11月20日20:00@Neil Simon Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<11年振りのブロードウェイ・リヴァイヴァル。
 1998年の初演は、そのプロデューサーで、当時飛ぶ鳥を落とす勢いのライヴェント社が、クルマのフォード社と組んで、閉鎖されていた42丁目の2つの劇場、リリック劇場とアポロ劇場とを合わせて改装し完成させたフォード・センター(劇場)のこけら落と公演でもあったが、その劇場も今や名前をヒルトンと替えている。さほどに11年の歳月は長いが、個人的には不思議に最近な気がする。

 大がかりで充実した新作だった初演の感想はこちらに書いた通りだが、テーマに引きずられてか、重苦しさが先に立った。
 ワシントンD.C.のケネディ・センターから来た今回のリヴァイヴァルは、その点、演出に軽快さがあり、初演よりいい(演出・振付マーシャ・ミルグロム・ドッジ)。
 構造主義的美しさを持つ鉄骨による装置は、舞台を三階建てにし、なおかつ橋状の可動部を持つ。この装置が、複雑に絡み合う物語の見晴らしをよくしている部分もある。
 楽曲のよさは証明済み。役者も、マザー役クリスティアン・ノールはじめ、みんな過剰さがなく、いい。>

 クリスティアン・ノールは、『Jekyll & Hyde』の主人公の片割れ(!!)ジキル博士の婚約者エマ役でブロードウェイ・デビューした人。マザーはドラマの中心となる重要登場人物の1人だが、初演版のマリン・メイズィー同様、ノールも包容力を感じさせる演技でトニー賞助演女優賞の候補になっている。
 役者ではもう1人、マザーズ・ヤンガー・ブラザーを演じたボビー・ステッガート(『110 In The Shade』)がトニー賞にノミネート。

 印象的な装置デザインはデレク・マクレイン(『Little Womem』)の仕事。
 編曲は初演版同様ウィリアム・デイヴィッド・ブローンだが、「時に立派に聞こえすぎるのが、やや不満」と書いた初演版と違って、より親密に聴こえた。

 作曲スティーヴン・フラハーティ&作詞リン・アーレンズ(『Once On This Island』『My Favorite Year』『Seussical』『A Man Of No Importance』『Dessa Rose』『The Glorious Ones』)。脚本テレンス・マクナリー。

The Chronicle of Broadway and me #579(Ragtime)” への19件のフィードバック

コメントを残す