The Chronicle of Broadway and me #682(Jesus Christ Superstar)

2012年3月~4月@ニューヨーク(その3)

 『Jesus Christ Superstar』(3月28日14:00@Neil Simon Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『Jesus Christ Superstar』が12年振りにブロードウェイに登場。
 前回(2000年)のブロードウェイ・リヴァイヴァル版、及び、その前の1996年ロンドン版も観ているが、そのいずれとも違うヴァージョンで、いずれよりもスッキリした仕上がり。ドラマに大仰さが少なく、テンポが速い。
 ところで、2000年のブロードウェイ・リヴァイヴァル版の感想に、自分で読み返しても感心するほど面白いことを書いているので、ぜひリンク先でお読みいただきたいが(笑)、その中に次のような文章がある。

 「この作品の本質は、“聖書に題材を得た歌中心のレヴュー”というところにあって、それ以上でも以下でもない。したがって実際には、演出のポイントは、歌の魅力・勢いを削ぐことなくいかにテンポよく舞台を運ぶか、に尽きる。しかし時代の変化と共に、それだけでは魅力的に見えない作品に、すでになっている。そこで観客の興味を惹くべく、いろいろと演出にアイディアを盛り込んで、意味ありげに見せようとする。そして底の浅さが割れる。」

 なるほど(笑)。
 ちなみに、今回の演出はロック好きのデス・マカナフ(『The Who’s Tommy』他)。装置(ロバート・ブリル)は金属製の素材で、2階相当部分に回廊、数箇所に垂直なハシゴ、移動式の幅2メートルほどの階段、というシンプルなもの。最後にジーザスが客席に向かって迫り出してくる大仕掛けがあるが、それも含めて、スムースに楽曲を聴かせる、言ってみれば“舞台上で繰り広げられるミュージック・ヴィデオ”的な印象。
 その意味では、先の分析に沿った(笑)効果的な演出だが、いかんせん、この作品は、すでに時代に取り残されている感が強いので、迫ってくるものがない(だから、最後の大仕掛けなのかも)。
 観た回は、ウリの1つであるユダ役のジョシュ・ヤング(その後、トニー賞助演男優賞候補になった)に代役が立っていた。が、そういう可能性は高いと知って選んだ水曜昼公演なので、致し方あるまい。観直す機会もないだろう。>

 ロバート・ブリルの装置は、改めてダイジェスト映像を観直すと、登場人物を示すアルファベットや十字架が大きなネオンサインとして登場したりして、シンプルな中にも派手さがあることがわかる。それをミュージック・ヴィデオ的だと感じたのだろう。

 振付リサ・シュライヴァー。

 ジーザス役ポール・ノーラン。ユダ役(代役)ジェレミー・クシュニア。マグダラのマリア役チリナ・ケネディ。ポンテオ・ピラト(ポンティウス・ピーラートゥス)役トム・ヒューイット(『The Rocky Horror Show』『Dracula, The Musical』)。ヘロデ王役ブルース・ドウ。