The Chronicle of Broadway and me #671(Hugh Jackman, Back On Broadway/An Evening With Patti LuPone And Mandy Patinkin)

2011年11月@ニューヨーク(その5)

 コンサート形式のショウ2作について。

 『Hugh Jackman, Back On Broadway』(11月25日14:00@Broadhurst Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<映画界でもステイタスを築いているオーストラリア出身のヒュー・ジャックマンは、ブロードウェイでも人気者。それを証明するように、『Hugh Jackman, Back On Broadway』なるワンマン・ショウがホリデイ・シーズンに的を絞って上演された。

 幕開けの『Oklahoma!』「What A Beautiful Morning」や2幕の始まりの『The Boy From Oz』メドレー等の過去に出演したミュージカルのナンバー(前者はロンドン版で主役を演じ、後者はブロードウェイ初お目見え作にしてトニー賞主演男優賞受賞作)、往年のハリウッド・ミュージカル映画ナンバー(タップ・ダンスでフレッド・アステアに挑む!)等は予想のつくラインナップだが、地元オーストラリアからアポリジニのミュージシャンを招いての共演(アボジニアの伝統音楽を演奏)は新鮮な驚き。彼らへの差別の歴史についても言及していたが、そうした態度がわざとらしく見えないのがジャックマンの魅力なのだろう。客あしらいも自然で嫌味がない。
 フル・オーケストラをバックに、女性のシンガー&ダンサー数人を効果的に使って、ダレることのないショウに仕上げてあった。>

 演出・振付ウォーレン・カーライル(『A Tale Of Two Cities』『Finian’s Rainbow』『Follies』)。


 『An Evening With Patti LuPone And Mandy Patinkin』(11月26日14:00@Barrymore Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<ブロードウェイ版『Evita』でエヴィータとチェ・ゲバラを演じた2人のリユニオン・コンサート。
 2幕中盤のパティンキンのMCで明かされるが、『Evita』の米国内トライアウト時の異常なほどの重圧を分かち合うことで2人は“同志”になったらしい。

 そんな2人の舞台は実にストイック。2003年1月に観たパティンキンのソロ・コンサートがそうだったから想像はしていたが、その時同様、MCはほとんど(第1幕に限っては全く)なく、ひたすらミュージカルのナンバーを歌い継いでいく。もっとも、今回は2人なので芝居的要素も強く、第1幕では『South Pacific』のロマンティックな楽曲と『Company』の皮肉な恋愛観の楽曲とを巧みに繋げ、男女の心のすれ違いを描いて笑える内容に仕立てたりするアイディアもある。そう言えば2人で激しく踊る場面もあった。
 第2幕では、前述したように多少語りも入り、ファン・サーヴィス的要素も加わる。例えば、ルポンの近年の当たり役『Gypsy』のママ・ローズのナンバー「Everything’s Coming Up Roses」を配したり。
 で、その手のクライマックスが『Evita』からの2曲をそれぞれが歌う中盤で訪れる(この時に前述の“同志”発言がある)。
 とはいえ、第2幕も基本的にはストイックな雰囲気で、観光客がフラッと入って楽しめるショウとは言いがたい。逆に言うと、ホントにミュージカルが好きな人たちにとっては、たまらなく魅力的。1月13日までの限定公演。>

 創案マンディ・パティンキン&ポール・フォード。
 演出マンディ・パティンキン。音楽監督ポール・フォード。ダンス監修アン・ラインキング。

 感想の中で触れている「『South Pacific』のロマンティックな楽曲と『Company』の皮肉な恋愛観の楽曲」は「Some Enchanted Evening」と「Getting Married Today」のこと。

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