The Chronicle of Broadway and me #528(13)

2008年9月@ニューヨーク(その3)

 『13』(9月17日20:00@Bernard B. Jacobs Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『13』はプレヴュー2日目。楽曲作者ジェイソン・ロバート・ブラウン(『Parade』『The Last Five Years』)の新作だ。
 タイトルは登場人物たちの年齢から来ている。そして、出演者も全員、その設定年齢に近い形で若い。それを新鮮だと取る向きもあろうが、ことブロードウェイの舞台にあっては、頼りない感じも否めない。
 内容の学園ドラマは、後味は爽やかだが、6月に観たオフの『Saved』等に比べると厚みがなく、もの足りない。
 ただし、ブラウンの楽曲が溌剌としているので、楽しくはある。>

 書き落としているが、出演者の数も「13」人。
 若いキャストによるプロダクション、という意味で、Netflixの『Best Worst Thing That Ever Could Have Happened』(邦題:ベスト・ワースト・ストーリー)を観ながら、この作品のことを思い浮かべた。アリアナ・グランデやエリザベス・ギリースも参加するリユニオン・コンサートとか、あり得るのだろうか。

 ジェイソン・ロバート・ブラウンは、この作品の前に『Urban Cowboy: The Musical』のために数曲書き下ろしているが、基本そこでは楽曲作者である前に音楽監督であり、既成楽曲の使い方とアレンジに腐心したはずで、その憂さを晴らすかのように、この作品では多様な曲調の楽曲を思う存分書きまくった感があった。タイトル・ナンバー「13」はシングル・ヴァージョンまで作るという力の入れよう。ちなみに、音楽監督はトム・キット。
 残念ながら、このブロードウェイ版はトニー賞授賞式を迎えることなく終わってしまったが(9月16日プレヴュー開始、10月5日正式オープン、翌年1月4日クローズ)、その後、出演者が若いという特性を生かして、アメリカ国内のみならず英語圏ではけっこう上演されているようだ。

 脚本ダン・エリッシュ&ロバート・ホーン(後に『Tootsie』)。
 演出ジェレミー・サムズ、振付クリストファー・ガッテリ(『The Baker’s Wife』『Altar Boyz』『Bat Boy: The Musical『I Love You Because』『Martin Short: Fame Becomes Me』『High Fidelity』『Sunday In The Park With George』『South Pacific』)。

 上記の出世頭2人、アリアナ・グランデ、エリザベス・ギリースの他、主役のエヴァンを演じたグレアム・フィリップスも、その後は舞台ではなく、映像や音楽の世界で活躍している。舞台での活動を中心にしているのは、そのエヴァンの相手のパトリース役だったアリー・トリム、すでにブロードウェイ経験のあったブリン・ウィリアムズ(『Chitty Chitty Bang Bang』『In My Life』『Dr. Seuss’ How The Grinch Stole Christmas!』)、それに昼公演でエヴァンを演じていたコリー・J・スナイドといった面々。
 異色なのは、役者としても多方面で活躍しつつ、プロデューサーとしてトニー賞(ストレート・プレイ『The Inheritance』)を獲得したエリック・ネルセン。

 Netflixでの映像化が昨年発表され、ジェイソン・ロバート・ブラウンが新曲も書き下ろすと報じられたが、その後どうなっているのだろう。

 (追記)Netflixの映像版は完成して2022年8月に配信が開始された。

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