The Chronicle of Broadway and me #402(Altar Boyz)

2005年4月@ニューヨーク(その8)

 『Altar Boyz』(4月16日20:00@Dodger Stages(Theatre 4))について旧サイトに書いた観劇当時の感想は次の通り(<>内)。

<日本で言えばジャニーズ系の5人組のコンサート、という設定。それも、魂を救う伝道を目的とした。
 ソウル・センサーという“救われてない魂”の数を感知するカウンター付きの 電光掲示板 が置いてあるのがミソで、コンサート会場の“救われてない魂”をゼロにできるかどうか、というのがドラマになっている。
 5人の歌と踊りがうまいのは言うまでもないが、それぞれ宗旨が違ったりするキャラクター設定も面白い。
 が、宗教ネタを楽しめないアメリカ人も当然いて、始まるとすぐに帰った人がいた。そんなことが気にもならない日本人には、逆に、ネタの面白さがホントにはわからない、というところもあることはある。>

 ……と言いながら、2009年から始まった日本での翻訳上演は断続的に今日まで続いているという、なかなか不思議な状況(笑)。

 前年(2004年)の第1回ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェティヴァル(後にニューヨーク・ミュージカル・フェティヴァルと改名)で試演の後、この年(2005年)の3月1日にオフでオープンしている。途中で帰っちゃう客がいたのは、まだ内容が周知されていない時期だったからだろう。最終的には2010年1月10日までのロングランとなる。

 楽曲作者はゲイリー・アドラーとマイケル・パトリック・ウォーカー。クレジットを見ると共作ではなく、別々に単独で書いているようだ。ボーイズもの(っていうと演芸か(笑))、もとい、ボーイ・バンドもののパロディに相応しく、大仰なイントロのバンドのテーマ曲「We Are The Alter Boyz」に始まり、バラードからヒップホップまで曲調はヴァラエティ豊か。メンバーの1人がラテン系で、そちらに目配りした楽曲も用意してある。テーマ曲の中でメンバー紹介があり、1人がユダヤ人であることが明かされるのが、設定紹介としてうまい。
 アドラーとウォーカーは共に『Avenue Q』の音楽の仕事をしているから、2人のつながりの元はそこかもしれない。

 脚本のケヴィン・デル・アギーラは役者でもあり、この後、ブロードウェイでは『Peter And The Starcatcher』『Rocky』『Frozen』にオリジナル・キャストとして出ている。
 原案はマーク・J・ケスラー(『Crazy For You』『Tommy Tune: White Tie And Tails』に出ていたマンハッタン・リズム・キングズのメンバー)とケン・ダヴェンポート(本作のプロデューサーの1人)。
 演出は前年のペイパー・ミル・プレイハウス版『Guys And Dolls』のスタッフォード・アリマ。振付は、この年に観た『The Baker’s Wife』と同じくクリストファー・ガッテリ。

 出演者で特筆すべきは、なんと言ってもアンディ・カール。2010年代以降ブロードウェイでスター級になる、あのアンディ・カールだが(最新作が『Pretty Woman: The Musical』)、ここではキャップを斜めに被ったヒップホップ小僧を演じている(上掲写真のポスターの向かって左端)。
 また、「神の声」として、ラジオ番組「American Top 40」で知られるシャドー・スティーヴンスの録音音声が使われていた。

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