The Chronicle of Broadway and me #916(Christmas Spectacular[10]/M. Butterfly/Waitress[2])

2017年11月~12月@ニューヨーク(その7)

 ホリデイ・シーズンお馴染みのヤツ、ブロードウェイのリヴァイヴァル・プレイ、再見のブロードウェイ・ミュージカル、の3本。
 

 『Christmas Spectacular』(11月28日14:00@Radio City Music Hall)は、観た、ということで(笑)。
 でも、その後観てないから、これが観納めってことになるのかも。
 
 
 『M. Butterfly』(11月29日14:00@Cort Theatre)は、ミュージカル好きには『Flower Drum Song』の改作や『Aida』『Tarzan』『Soft Power』の脚本で知られる劇作家デイヴィッド・ヘンリー・ホワンの出世作となったストレート・プレイ。初演は1987/1988シーズンのトニー賞で作品賞を獲得している。同作の、これがブロードウェイでの初のリヴァイヴァル。
 1986年のパリの監獄、というのがリヴァイヴァル版の設定だが、初演では、1988年の監獄そして1960年から1986年の北京とパリの思い出、となっている。初演は未見だが、脚本を読む限り大きな変更はないと思う。もちろん、このリヴァイヴァルも回想部分がメインとなる。

 日本での翻訳上演もあるし、映画化もされているから、ごぞんじの方も多いと思うが、フランスの外交官(監獄に入っているのはこの人)が京劇のヒロインに恋をし、数年にわたって愛人関係にありながら、相手が肉体的に男性であることに気づかずにいた、という話で、実話に基づいているという。その”事件”が話題になったのは、外交官が恋した相手が実は中国のスパイで、彼/彼女を通じて外交的機密情報が漏れていたことが発覚したから。
 背景には京劇で女性を演じる彼/彼女に対する国家からの差別的抑圧があった、というのがドラマの肝の1つ。もう1つの肝は、恋愛におけるジェンダーとは?…ということになるのか。あるいは、国家と個人の問題か。『Madama Butterfly』(蝶々夫人)も絡むので、西洋から見た東洋という文化の問題も孕む。
 と、まあ、いろいろに考えられる内容であるところが、この作品の魅力なのだろう。
 ただ、個人的には、なぜ今(2017年)リヴァイヴァルなのか、という点で、ポイントが絞り切れていないようにも感じた。

 演出がジュリー・テイモア(『The Lion King』『The Green Bird』『Spider-Man: Turn Off The Dark』『A Midsummer Night’s Dream』)なので、視覚的に鮮やかな場面が多い。振付マー・コン。

 外交官ルネ・ガリマール役クライヴ・オーウェン。役者ソン・リリン役ジン・ハ。
 

 『Waitress』(12月3日19:00@Brooks Atkinson Theatre)を再見したのは、好きなシンガー・ソングライター、ジェイソン・ムラーズが出演していたから。
 役柄は医師ジム・ポマターで、コミカルな部分も含めて、演技は無難にこなした、という印象。もちろん歌はうまい。

 主人公ジェナ役はベッツィ・ウルフ(『110 In The Shade』『Everyday Rapture』『Merrily We Roll Along』『The Mystery Of Edwin Drood』『The Last Five Years』『Bullets Over Broadway『Falsettos』)。ウェイトレス仲間は、今(2022/2023シーズン)『Some Like It Hot』に出ているナターシャ・イヴェット・ウィリアムズ(『The Gershwins’ Porgy And Bess』『Bella: An American Tall Tale』)と、後に『Girl From The North Country』に出ることになるケイトリン・フーラハン(ブロードウェイ・デビュー)。

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