The Chronicle of Broadway and me #725(The Last Five Years)

2013年3月@ニューヨーク(その8)

 『The Last Five Years』(3月23日14:00@Tony Kiser Theatre/Second Stage Theatre)のオフ初演を観たのは、ここからちょうど11年前。2002年3月24日。
 登場する男女カップルのドラマ上の時間軸が異なっていて、未来に向かう男性と過去に遡る女性のドラマが中間地点で一瞬交錯し、また離れていく。『Merrily We Roll Along』をさらに複雑にしたような、その構成が理解できなかった、という感想はこちら

 このリヴァイヴァルでは、その「交錯」する「一瞬」の描写が印象的だった。
 セントラル・パークの池でボートに乗る2人。それまで別々に歌っていた2人が初めて同じ歌を歌うシーン。が、歌が終わるとボートは真ん中から2つに割れ、2人は左右に別れていく。
 初演でも同じ演出だったかは覚えていないが(演出デイジー・プリンス)、同じだったとしても全体像がわかっていなかったから、その意味を理解できていなかったに違いない。いずれにしても、その場面をはじめ、繊細な空気に満ちた、いい舞台だった。
 このリヴァイヴァルの演出は楽曲作者ジェイソン・ロバート・ブラウン自身。おそらく彼にとっては、楽曲作者としての能力を最大限に発揮できた、愛着のある作品なんだと思う。

 男性ジェイミー役アダム・キャンターは、2年後の『Fiddler On The Roof』の後、『The Band’s Visit』に出演。公衆電話の前でかかってこない電話を待ち続ける男を演じて強い印象を残す。女性キャシー(キャサリン)を演じているのは、少し前まで『The Mystery Of Edwin Drood』に出ていたベッツィ・ウルフ(『110 In The Shade』『Everyday Rapture』『Merrily We Roll Along』)。

 映画版がトロント国際映画祭で初公開されるのは1年半後。アメリカでの一般公開は2年後。
 映画版の出来はともかくとして(悪くはない)、直感だけど、この作品(舞台版)は映画『La La Land』のヒントになってる気がする。ストーリー的にも楽曲的にも。