The Chronicle of Broadway and me #769(Bullets Over Broadway)

2014年3月@ニューヨーク(その3)

 『Bullets Over Broadway』(3月27日20:00@St. James Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<ウディ・アレン監督による1994年の同名映画(邦題:ブロードウェイと銃弾)の舞台ミュージカル化。映画の脚本はダグラス・マッグラス(『Beautiful: The Carole King Musical』)とアレンの共同だが、今回の脚本はアレンが単独で書いている。

 演出・振付はスーザン・ストロマン。楽曲はアレンお得意の古いスウィング・ジャズ(彼がジャズ・クラリネット吹きであることは、ご承知の通り)。と来れば、ノスタルジックながらもダイナミックなダンスが続々登場する楽しい舞台になることは必定。
 実際その通りで、オーソドックスなダンス・ミュージカル好きなら、かなり満足できるはず。展開もストロマンらしくスピーディで、工夫を凝らした装置による転換も鮮やか(とはいえ、観た日が正式オープン2週間前のプレヴュー中だったこともあり、装置の不調で2度、転換の最中に中断したが)。

 役者も、大女優役のマリン・メイズィーこそ代役(ジャネット・ディッキンソン)で観られなかったものの、ブルックス・アシュマンスカス、カレン・ジエンバはじめコメディが(コメディも?)達者な実力派が揃っている。
 あえて言えば、狂言回し的役割の劇作家役ザック・ブラフが吸引力という点で、やや弱いか。

 しかしながら、どことなく不完全燃焼感が残ったのは、全てが、あまりにも定石通りだからか。いずれにしても、装置の件も含め、再見の予定。>

 1929年ニューヨーク。新進劇作家の新作プレイがブロードウェイの劇場で上演の準備を始めているが、資金不足に悩むプロデューサーは、出資者であるギャングのボスの愛人を出演させざるを得なくなる。現場は混乱するのだが、その愛人のボディガードを命じられた冷徹な男に脚本家としての才能があり、劇作家に有益なアドヴァイスを次々に与えることになって、人間関係も微妙に変化していく……という話。

 ボディガード役ニック・コーデロは、この後、『Waitress』『A Bronx Tale The Musical』で同系統のキャラクターを演じることになる。
 ギャングのボス役ヴィンセント・パストア。その愛人役ヘレン・ヨーク。プロデューサー役レニー・ウォルプ(『The Drowsy Chaperone』『The Baker’s Wife』)。先頃(2022年秋)ブロードウェイでプレヴューが始まったばかりの『& Juliet』に出ているベッツィ・ウルフ(『110 In The Shade』『Everyday Rapture』『Merrily We Roll Along』『The Mystery Of Edwin Drood』『The Last Five Years』)も劇作家の恋人役で出演していた。