The Chronicle of Broadway and me #675(The Gershwins’ Porgy And Bess)

2012年2月@ニューヨーク(その2)

 『The Gershwins’ Porgy And Bess』(2月18日20:00@Richard Rodgers Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<“フォーク・オペラ”『Porgy And Bess』の初演は1935年。ご承知の通り、ジョージ・ガーシュウィンの作曲作品で、脚本と作詞はデュボース&ドロシー・ヘイワード、そしてアイラ・ガーシュウィンが作詞で共作している(今回の上演タイトルの頭に「The Gershwins’」と付いていて、ガーシュウィン兄弟のことだと思うが、ヘイワード夫妻はどうなる? ちなみに、初演以来ずっと、ドロシー・ヘイワードの名前は元になった戯曲『Porgy』の共作者としてのみ記載されていたが、今回は作詞の共作者としてもクレジットされている)。
 なお、今回は脚本もだいぶ刈り込まれ、その分スコアにも改変があるようだ(脚本加筆スーザン=ロリ・パークス、スコア加筆ディードゥリ・L・マレイ)。

 一番最近のブロードウェイ・リヴァイヴァルが1977年で(細かいことを言うと1983年にラジオ・シティでの短期上演があるが、これは数えなくてもいいだろう)、その時の製作主体だったヒューストン・グランド・オペラの来日公演を1996年だかにオーチャード・ホールで観たが、どうにも重苦しく、立派だがやりきれない、という印象を持った。
 それに比べ、今回のリヴァイヴァルは、“フォーク・オペラ”の“オペラ”よりも“フォーク”の方が強調された感じで、猥雑さがあり、力強さがある、と思った。演出のダイアン・ポーラスは2009年の『Hair』を手がけた人。1999年にオフで観た“クラブ版真夏の夜の夢”『The Donkey Show』の作者でもあったわけで、この2作に共通するのは、軽薄とも思える派手さの背景に、ある種の生命力を感じるというところだから、その感じ方はあながち的外れでもないだろう。
 シンプルで無骨な印象ながら様々な表情を見せるリッカルド・エルナンデスの装置も、そうした雰囲気に寄与している。個人的妄想としては、作品の向こうに、ハリケーン・カトリーナ後のニューオーリンズに対する思いを観た気がした。
 主要キャストは、オードラ・マクドナルド(ベス)、ノーム・ルウィス(ポーギー)、デイヴィッド・アラン・グリーアー(スポーティング・ライフ)。もちろん他のキャストも含めて、素晴らしい。>

 振付ロナルド・K・ブラウン。

 「Summertime」を歌うクララ役はニッキ・レネ・ダニエルズ(『The Look Of Love』『Lestat』『Les Misérables』『Promises, Promises』『Anything Goes』)。

The Chronicle of Broadway and me #675(The Gershwins’ Porgy And Bess)” への15件のフィードバック

コメントを残す