The Chronicle of Broadway and me #887(Sunset Boulevard/Hello, Dolly!)

2017年3月~4月@ニューヨーク(その7)

 リヴァイヴァル2本をまとめて。
 

 『Sunset Boulevard』(3月30日20:00@Palace Theatre)についての観劇当時の感想。配信音楽誌「ERIS」19号(2017年6月)に書いた原稿からの抜粋(一部編集)です(<>内)。

<1994年のブロードウェイ初演時の主演グレン・クロースを再び起用しての6月25日までの期間限定公演。
 ちなみに、初めてブロードウェイに来る前のウェスト・エンド公演の主演は、今『War Paint』に出ているパティ・ルポンだった。

 今回のリヴァイヴァルの手柄は、あの意味のない大がかりな装置をなくしたこと。……てな皮肉はさておいて、気になったのはグレン・クローズの声の出なさ加減。元々そんなに歌える人ではないが。期間限定もむべなるかな。>

 『Sunset Boulevard』に対して厳しいのは初演ロンドン版のチケット事情にカチンと来たのが尾を引いているのかもしれない(笑)。

 このブロードウェイ・リヴァイヴァルは前年(2016年)のイングリッシュ・ナショナル・オペラによるロンドンでの期間限定リヴァイヴァルの引っ越し公演だったようで、演出は同公演と同じくロニー・プライス。
 主要な3役、ジョー役マイケル・ゼイヴィア、マックス役フレッド・ヨハンソン、ベティ役シボーン・ディロンはいずれもブロードウェイ・デビュー。ただし、観た回のベティ役は代役でブリトニー・コールマン。彼女もブロードウェイ・デビュー。

 今さらだが、ロンドン初演版のオリジナル・キャスト盤を聴き直すと、ジョー役ケヴィン・アンダーソンの歌が弱いことに気づく。
 

 『Hello, Dolly!』(3月31日20:00@Shubert Theatre)についての観劇当時の感想。配信音楽誌「ERIS」19号(2017年6月)に書いた原稿からの抜粋(一部編集)です(<>内)。

<昨年9月のチケット発売日にすかさず予約したが、その時点でかなり売れていた。というわけで今やプラチナ・チケットだが、そうやって取っただけの価値のある素敵な公演だった。
 周りを手堅く固めた中での、ミドラーの、客の心を捉えて放さない魅力的な演技。…とだけ言っておこう。今のところ、まだ終わりの発表されていないロングランなので、先の時期なら普通にチケット購入可能なはずです。>

 作曲・作詞ジェリー・ハーマン。脚本マイケル・ステュワート。

 演出ジェリー・ザックス、振付ウォーレン・カーライルによる、このリヴァイヴァルは、基本オリジナル(つっても当然のことながら初演は観ていないが、その再現であるキャロル・チャニングによる1995年リヴァイヴァル版)に忠実に作ってあったので、新味はない。つまりは、主演ベット・ミドラーの完全なるスター芝居。それでOKなオーラがミドラーにはあり、満足できる楽しさのある舞台でもあった。

 主な出演者は他に、デイヴィッド・ハイド・ピアース(『Monty Python’s Spamalot』『Curtains』『The Landing』)、ギャヴィン・クリール(『Thoroughly Modern Millie』『La Cage Aux Folles』『Hair』『She Loves Me』)、ケイト・ボールドウィン(『Finian’s Rainbow』『Big Fish』『Can-Can』)、テイラー・トレンシュ(『Matilda The Musical』)、そして後に『Funny Girl』で主演するビーニー・フェルドスタイン(ブロードウェイ・デビュー)。ジェニファー・シマード(『The Thing About Men』『Forbidden Broadway: Special Victims Unit』『Dr. Sex』『The 25th Annual Putnam County Spelling Bee』『Sister Act』『Disaster!』)も出ていた。