The Chronicle of Broadway and me #692(The Landing)

2012年5月~6月@ニューヨーク(その5)

 『The Landing』(6月 3日15:00@Vineyard Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<3つの1幕ものから成る“短編集”的な舞台で、それぞれ趣は違うが、いずれも近しい人間同士の愛情について描いている。

 2004年に長年の相棒フレッド・エブを失ったジョン・カンダー(作曲)が新たに若いグレッグ・ピアース(作詞・脚本)と組んだ作品で、最初に2人して舞台前に出てきて簡単な紹介をするのがうれしい。
 出演者は4人だけ。知名度で言うと、カンダー&エブ作品『Curtains』でトニー賞主演男優賞を得たデイヴィッド・ハイド・ピアースが目玉ということになるが、残る3人(子役1人)も実力派で、手触りの違う3つの劇世界の中で均等の重さで渡り合い、絶妙の緊張感を生み出す。かと言って、堅苦しいわけではなく、面白い。
 演出はウォルター・ボビー(『Chicago』『Footloose』『Golden Boy』『Sweet Charity』『High Fidelity』『Irving Berlin’s White Christmas』)。

 ヴィニヤード劇場の“Developmental Lab”と呼ばれる実験的なシリーズなので規模は小さいが、その分料金も安い。観光客を呼び込むことを想定しないこうした試みを、一線級のスタッフとキャストで続けていくことの意味は、とてつもなく大きいはず。羨ましい限りだ。>

 作詞・脚本のピアースはこの時点で34歳。カンダーとの年齢差51歳。戯曲作家として注目されていたが、ミュージカルの作詞・脚本は公式には初めてだった。同じコンビが同じ劇場で3年後に『Kid Victory』を発表することになる。

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