The Chronicle of Broadway and me #905(Whisky Pants: The Mayor Of Williamsburg/Tiny Beautiful Things/Frankenstein: A New Musical)

2017年9月~10月@ニューヨーク(その4)

 オフの3作をまとめて
 

 『Whisky Pants: The Mayor of Williamsburg』(9月29日20:30@Here)は、”現代の寓話”といった風情の、ひねったミュージカル。実際、作曲家のクリスチャン・デ・グレ(・カーデナス)が、自作を”トゥイスティッド・オペレッタ”と呼んだりしているようだから、その印象は間違っていないのだろう。
 市長が率先して飲酒し、飲酒によって人々に現実の恐ろしさを忘れるように奨励する町、という設定。実は、そのために市長の家族は崩壊していて、今は娘と2人暮らし。そこに、妻に連れられて離れていた息子が戻ってきて町をアルコール依存症から救おうとする。そんな話。
 扮装や装置/照明などにドイツ表現主義的な暗鬱かつ夢想的な色合いが感じられる作品で、楽曲はオペレッタという自称に相応しく、クラシカルな響きの中にユーモアやペーソスがにじむ。

 作詞ジョゼフ・リース・アンダーソン。脚本セラナ・ゲイ。
 彼らと作曲・演出のデ・グレは、Mind The Art Entertainmentというグループとして活動しているようで、翌年夏のNYMFで観ることになる『Fatty Fatty No Friends』も彼らの作品。

 出演は、トニー・モワット、ミシェル・アイルトン、チャーリー・ティンゲン他。
 

 『Tiny Beautiful Things』(10月1日19:00@Newman Theater/Public Theater)の元になっているのは、ベスト・セラー作家でもあるシェリル・ストレイドの書いた同名書籍。ストレイドがシュガーと名乗るオンライン・コラムニストとして受けた数多くの人生相談体験を基にした内容で、最近TVドラマとして映像化もされたようだ。
 ミュージカルではないのに観に行った理由は不明(笑)。演出がトーマス・カイル(『In The Heights』『Hamilton』『The Wrong Man』)だったからか。

 劇中でシュガーを演じたニア・ヴァルダロスは、トーマス・カイル、マーシャル・ヘイマンと共に本作の舞台化を創案し、シェリル・ストレイドの原作(の脚本化?)を補作している。
 

 『Frankenstein: A New Musical』(10月2日19:00@St. Luke’s Theatre)は、この年(2017年)の10月2日にプレヴューを開始し、同月10日にオープン。当初はこの年の暮れまでの上演予定だったが、延びに延びて2020年春まで続いている。
 ”あの”フランケンシュタインの物語を、スペクタクルにではなく、小さな劇場で丁寧に描いたのが功を奏したのだろうか。
 2015年のNYMF『Day Of Wrath』のタイトルで参加していたらしい。

 作曲・作詞・脚本エリック・B・シロタ、補作詞ジュリア・シロタ。
 演出クリント・フロムスコ。

 フランケンシュタイン役ジョナサン・コブルダ、怪物役ダニエル・ブリストール、エリザベス役エイミー・ロンディン。

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