The Chronicle of Broadway and me #638(The People In The Picture)

2011年3月~4月@ニューヨーク(その7)

 『The People In The Picture』(4月3日14:00@Studio 54)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<ミュージカルに関してはリヴァイヴァル専門の感が強いラウンダバウト劇場の新作。地味な題材だが、ある種のミステリー仕立てで、最後まで目が離せない作りになっている。
 戦前(第二次世界大戦です)のワルシャワで活動していたユダヤ人劇団の看板女優だった女性が主人公。今(1977年)は娘と一緒にニューヨークに住む年老いた彼女は、昔話を孫娘に聞かせる。それをウソだと嫌がる娘。なぜか。そこに謎がある。
 ナチスの台頭、ユダヤ人迫害の歴史の渦中で、母と娘との間に何があったのか。昔話を始めると、今は亡き劇団の友人たちが立ち現れて、老女だったはずの女優が一瞬にして若返り、自身の半生を再現する、という舞台ならではの表現を巧みに使って、ユダヤ人たちのドラマを重層的に描いていく。

 脚本と作詞のアイリス・レイナー・ダートは、映画化された小説「Beaches」(映画邦題:フォーエバー・フレンズ)の作者として知られる小説家で、TVドラマ等の脚本も手がけてきたらしい。シリアスな話を巧みに温かくまとめている。
 作曲は、なんと、マイク・ストーラー、及び、弟子筋(?)のアーティー・バトラー。
 主演のドナ・マーフィはじめ、役者も、うまい人たちが揃った。

 途中、映画の撮影シーンが何度かあるが、実際にカメラで舞台上の役者を撮り、それが古いモノクロームの映画らしい画質で背景に映し出されるのが新鮮だった。>

 マイク・ストーラーは、もちろん偉大なるロックンロール・クリエイター・チーム、ジェリー・リーバー&マイク・ストーラーの片割れ。アーティー・バトラーは1960年代に彼らの下で腕を磨き、主に編曲家としてヒット曲を生み出した人。
 演出は主にストレート・プレイの仕事をしているレナード・フォグリア(『Master Class』)。振付はアンディ・ブランケンビューラー(『A Wonderful Life』『The Apple Tree』『In The Heights』『9 To 5』)。

 出演はドナ・マーフィの他に、アレグザンダー・ジェミニャーニ(『Assassins』『Sweeney Todd』『Les Mirerables』『Sunday In The Park With George』)、クリストファー・インヴァー(『Victor/Victoria『The Threepenny Opera』)、ニコル・パーカー(『Martin Short: Fame Becomes Me』)、レイチェル・レシェフ(『Shrek The Musical』)、チップ・ザイエン(『Into The Woods』『Falsettos』『The Boys From Syrasuse』『Chitty Chitty Bang Bang』)、ハル・ロビンソン(『Grand Hotel: The Musical』)、ルウィス・J・スタッドレン(『Laughter On The 23rd Floor』『A Funny Thing Happened On The Way To The Forum』)、ジョイス・ヴァン・パッテン(『Neil Simon’s Rumors』)ら。全体にストレート・プレイ畑の人が多い。

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