The Chronicle of Broadway and me #110(Hello, Dolly![2]/H.M.S.Pinafore/Master Class/New York City Ballet)

1996年1月@ニューヨーク(その2)

残りをまとめて。

HelloDolly

 『Hello, Dolly!』(1月4日20:00@Lunt-Fontanne Theatre)は、キャロル・チャニングを可能な限り観ておこうと再見。感想は省略。楽屋口にあった看板の写真を載せておく。半端なフレーミングはご容赦。アナログ・カメラは現像するまでどう写ったかわからないもので。

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 『H.M.S.Pinafore』(1月5日20:00@Symphony Space)は、ギルバート&サリヴァン W.S.Gilbert & A.Sullivan の1881年初演のオペレッタ。

『The Pirates Of Penzance』と同じくニューヨーク・ギルバート&サリヴァン・プレイヤーズによるリヴァイヴァル。
 身分の違う恋愛を軸にした『Anything Goes』ばりのコメディで、歌、ダンス、ギャグと三拍子そろっていて楽しい。スターはブロードウェイやTVでも知られるパット・キャロル。>

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 『Master Class』(1月6日14:00@Golden Theatre)は、テレンス・マクナリーの書いた1995/1996年シーズンのトニー賞作品賞を受賞したプレイ。観劇は受賞前。

<すでにこの時点で受賞確実の呼び声高く、大平和登氏が業務連絡のFAXに、わざわざ“傑作”と書いていらしたほどで、主演女優ゾー・コールドウェルも下馬評通りトニーを獲得した。
 日本でもこの秋、黒柳徹子がセゾン劇場で演じたが、マリア・カラスが一流のオペラ歌手を目指す若手に特別に指導するマスター・クラスの現場を舞台にしたもので、演じる者の尊厳と不安を、まずはカラスの前に出た生徒のものとして描き、さらに最盛期を過ぎたカラス自身のものとして描く。その描き方の笑いと苦さの調合が絶妙なわけだが、さらに、3人の生徒たちの歌も見事というオマケもあって、得した気分にもなる。
 白い半ドーム状のセットとプロジェクションとで、レッスン室が一瞬にしてオペラハウスや野外劇場に変わる鮮やかな手法には驚いた。
 コールドウェルの、決して沈み込まない、軽妙にして、なおかつ深い演技にはうなった。
 なお、お気づきのことと思うが、マスター・クラスとマリア・カラスは韻を踏んだ響きになっている。>

 書き落としているが、生徒の内の1人がオードラ・マクドナルドだった。彼女はこの役で2度目のトニー賞受賞。
 ゾー・コールドウェルはトニー賞授賞式後の7月に降板。替わって登場したのがパティ・ルポンで、翌年の1月末まで演じていたのだが、訪れた1月上旬がちょうど彼女の休暇中で残念ながらルポン版は観られなかった。
 文中にある大平氏の「業務連絡」とは、こちらで触れた本「笑うブロードウェイ」の件。

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 『New York City Ballet』(1月6日20:00@New York State Theatre)の定期公演。演目は、ジョージ・バランシンの「Serenade」と、ジェローム・ロビンズの「2&3 Part Inventions」「West Side Story Suite」。

<もちろん目当ては3つ目だったわけだが、他の2作も美しかった。前者は繊細、後者は力強い。
 「West Side Story Suite」を観て改めて思ったのは、やはり『West Side Story』はダンスさえあればいいということ。そう思い込むのに充分な魅力にあふれている。これだけのダンスがあるのだから、ドラマ部分を絞り直して、現代のミュージカルとして再生させる道もある気がするのだが。>

 おそらく、これ以前に劇団四季の『West Side Story』を観ていての感想と思われる。