The Chronicle of Broadway and me #602(La Cage Aux Folles/Lend Me A Tenor)

2010年4月@ニューヨーク(その4)

 オンのリヴァイヴァル2本をまとめて。

 『La Cage Aux Folles』(4月10日20:00@Longacre Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<昨年夏のロンドンで観たヴァージョンをブロードウェイに移植したもの。
 もちろん、ほぼ同じだが、全体の雰囲気がロンドン版の方がしっとりしている気がするのは、やはりお国柄か。
 唯一こちらの方がよかったのは、ロンドン版で唯一よくなかったジョルジュの息子役。>

 ……と書いているが、アルバン役ダグラス・ホッジはロンドン版の同役オリジナル・キャストでオリヴィエ賞を獲った人(苦笑)。ロンドンで観た時には替わっていたわけだが。
 一方のジョルジュ役はケルジー・グラマー。TVドラマ『Cheers』で知られている人で、これ以前のブロードウェイ出演は『Othello』『Macbeth』という経歴。
 他に、フレッド・アップルゲイト(『The Sound Of Music』『Young Frankenstein』『Happiness』)、ヴィアン・コックス(『Company』『Caroline, Or Change』)、クリス・ホック(『Shrek The Musical』)、ロビン・デ・ヘスス(『In The Heights』)、クリスティン・アンドレアス(『The Scarlet Pimpernel』)、エレナ・シャドウ(『Sweet Smell of Success』『Nine』)らが出演
 褒めているジョルジュの息子ジャン=ミッシェル役のA・J・シャイヴリーは、その後、『Bright Star』、そして今シーズンの『Paradise Square』と着実にスターへの道を歩んでいる。

 作曲・作詞ジェリー・ハーマン。脚本ハーヴェイ・ファイアスタイン。
 演出のテリー・ジョンソン、振付リン・ペイジは、大元のメニエール・チョコレート・ファクトリー版、ウェスト・エンド版から引き続き。

 この作品がある種の“普遍性”を持つことは間違いないが、その“表現方法”の受け取られ方が、激しく移り変わる時代の意識の中で今後どう変わっていくのか、気になるところではある。
 

 『Lend Me A Tenor』(4月10日14:00@Music Box Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『Crazy For You』の脚本家ケン・ラドウィグがブロードウェイ・デビューを飾ったストレート・プレイ(もちろんコメディ)で、初演は1989年。
 加藤健一の演出・主演版を本多劇場で観たことがあるが、原語でのブロードウェイ上演、どこまで理解できるかは別にして、C4U(『Crazy For You』の略称)ファンとしては観ないわけにはいかない。
 で、驚いたのが、こんなにセクシャルな内容だったっけ、ってこと。
 やっぱり、イタリア人オペラ歌手とかって、それに相応しい人がやんないと、セックス・アピールが、ね。日本人じゃ無理だわ。
 カーテンコールで、役者たちが早回し的な動きで全編のあらすじを見せてしまう演出が面白かった。>

 1934年のオハイオ州クリーヴランド、とある高級ホテルのスイートルームが舞台。オペラ公演(ヴェルディ『Otello』)のために訪れた有名イタリア人歌手が、いろいろあって舞台に出られなくなってしまい、興行主の助手(オペラ歌手志望)がイタリア人歌手になりすまして出演することになるが……。
 一人二役を演じざるを得ない主人公の綱渡りな立場と、様々な思惑を持った人々がスイートルームのあちこちのドアから絶妙のタイミングで出たり入ったりする動きとが連動して、バレそうでバレない秘密がスリリングな笑いを生む、という芝居。情報が行き渡らない時代の田舎町、という設定が、有名人に化けてもバレないという状況にリアリティを与える。

 初演の演出はジェリー・ザックス(トニー賞受賞)。このリヴァイヴァル版は、役者としても知られるスタンリー・トゥッチのブロードウェイ初演出作品。

 出演は、オペラ歌手になりすます助手役ジャスティン・バーサ、興行主役が後に『The Band’s Visit』でトニー賞を獲るトニー・シャルーブ、オペラ歌手役アンソニー・ラパーリア、その妻役ジャン・マックスウェル(『The Sound Of Music』『Chitty Chitty Bang Bang』)、助手の恋人役メアリー・キャサリン・ギャリソン(『Assassins』)、ホテルのベルボーイ役ジェイ・クレイツ(『High Fidelity』)、ソプラノ歌手役ジェニファー・ローラ・トンプソン(『Footloose』『Urinetown』、後に『Dear Evan Hansen』のコナーの母)、オペラ組合会長役ブルック・アダムズ。

The Chronicle of Broadway and me #602(La Cage Aux Folles/Lend Me A Tenor)” への15件のフィードバック

コメントを残す