The Chronicle of Broadway and me #652(Lend Me A Tenor: The Musical)

2011年7月@ロンドン(その3)

 『Lend Me A Tenor: The Musical』(7月26日19:30@Gielgud Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<その名の通り、劇作家ケン・ラドウィグの出世作である傑作コメディ『Lend Me A Tenor』のミュージカル化。やはりラドウィグが脚本を手がけた『Crazy For You』とは、出てくるのがオペラとソング&ダンスのショウという違いはあるが、どちらもバックステージもの。というだけでなく、取り違えのギャグ等、多くの共通点があり、以前からミュージカルになる題材なのでは、と思ってはいた。
 が、実際にミュージカルとして姿を現してみると、あえて作らなくてもよかったかな、と(笑)。

 まあ、元の脚本が非常によくできているので、まとまってはいるし、退屈することはないが、ミュージカルにするために付け加えた部分が余計なものに感じてしまう、というのが正直なところ。
 脚本は、ラドウィグのプレイ版を元に作詞のピーター・シャムが新たに書き起こしている。
 特筆すべき楽曲がなかったのも残念なところ。>

 改めてオリジナル・キャスト盤を聴き直すと、オペラのパロディになっていたりする楽曲はそれなりに面白い。その方向で全編通していれば、ファントムに対抗する(笑)ユニークなミュージカルとして別の評価を受けたかも。

 ミュージカル化のアイディアはアメリカ発のようだ。2006年にユタ・シェイクスピア・フェスティヴァルでリーディング上演が行なわれ、その改訂舞台版が翌2007年に南フロリダ大学で上演された、とウィキペディアにある。
 それが2010年に(イギリスの)プリマスでの上演に到り、そのプロダクションが翌年ウェスト・エンドに移行、という経緯らしい。

 作曲ブラッド・キャロル、作詞・脚本ピーター・シャム。
 演出イアン・タルボット(『The Pirates Of Penzance』『The Boy Friend』)。振付ランディ・スキナー(『State Fair』『42nd Street』『Lone Star Love』『Irving Berlin’s White Christmas』)。

 出演は、マシュー・ケリー、ジョアンナ・ライディング、ダミアン・ハンブリー、マイケル・マトゥス、ソフィー=ルイーズ・ダン、キャシディ・ジャンソン、ゲイ・ソウパー。

 この後すぐ(8月6日)クローズしている。

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