The Chronicle of Broadway and me #653(The Wizard Of Oz)

2011年7月@ロンドン(その4)

 『The Wizard Of Oz』(7月27日14:30@London Palladium Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<この『The Wizard Of Oz』を新作と言うかどうかは微妙だが、一応、映画版楽曲に加えて、プロデューサーでもあるアンドリュー・ロイド・ウェバーが数曲書き下ろし、その内の何曲かにはティム・ライスが歌詞を付けているし、脚本も、ロイド・ウェバーと演出のジェレミー・サムズが書き加えた部分があるようなので、“準”新作とでも言うべきものになってはいる。
 その“ちょっと手を加えた”感が半端で、なんとも邪魔なんだな(笑)。

 実のところ、それほど大きな改変があるわけではない。
 最も大きな変化は、『Wicked』を意識して、西の悪い魔女をはじめとした何人かのキャラクターが現代風に更新されているところ。もちろん、それは、いい魔女(グリンダ)にも及んでいる。
 まあ、今、ホリデイ・シーズンの期間限定公演ではなくロングラン作品として『The Wizard Of Oz』を作るとすれば、大好評上演中の『Wicked』を気にしないわけにはいかないだろう、というのは想像がつく。でも、その中途半端な目配せが、瞬間的に「あれ!? この『Wicked』、全体にショボくない?」という錯誤を覚えさせるのは、かえってマイナスだろう。
 このところ、ロイド・ウェバーが憑かれたように繰り出すプロジェクションを駆使したCG画像も、舞台好きにとっては、驚きよりも食傷の対象となりがち。ここでもプロデューサーとしてのロイド・ウェバーの資質に疑問を抱いてしまう。

 ちなみに、オズの魔法使い役は、初代ファントム、マイケル・クロフォードでした。
 ロイド・ウェバーとしてはブロードウェイ進出を狙ってるんだろうなあ。>

 ごぞんじ、作曲ハロルド・アーレン、作詞E・Y(イップ)・ハーバーグの楽曲による、1939年のMGMによる同名ミュージカル映画が元。
 同映画の舞台化は、すでにラジオ・シティ・エンタテインメントが手がけていて(その元はペイパー・ミル・プレイハウスが1992年秋に上演したもののようだが)、1998年5月のマディソン・スクエア・ガーデン公演を皮切りに、全米ツアーが翌年7月まで行なわれている(1999年5月のマディソン・スクエア・ガーデン帰還公演を観た)。そちらの権利を買い取ってロイド・ウェバーがこの改変版を作ったのか、それとも両方権利が生きているのかは不明。

 振付は、ウェスト・エンド及びブロードウェイの『Saturday Night Fever』で演出・振付を担当したアーレン・フィリップス。『We Will Rock You』の振付もこの人。

 ドロシー役のダニエル・ホープは、BBCで8週にわたって放映されたこの役のオーディション番組(いわゆるリアリティ番組)の優勝者。

 このウェスト・エンド公演自体は翌2012年5月で幕を下ろしている。その後、カナダ、オーストラリア、イギリス国内での公演が断続的に行なわれているのはロンドン産ミュージカルの常。アメリカでの上演は、ツアー・カンパニーによるラスヴェガス、デトロイト公演はあったようだが、ニューヨークには未だ足を踏み入れていない。

The Chronicle of Broadway and me #653(The Wizard Of Oz)” への4件のフィードバック

    1. ご指摘ありがとうございます。当方、いささか不勉強ではございますが、舞台化が過去に数多あるのは存じ上げております。もっとも、ウィキペディアでわかる範囲の話ですが。ブログには、とりあえず観劇経験のある直近の例を挙げたまでのことですので、ご寛容のほどを。

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