The Chronicle of Broadway and me #564(Dirty Dancing/Priscilla Queen Of The Desert)

2009年8月~9月@ロンドン(その3)

 既成楽曲を使った同名映画の舞台ミュージカル化2作品、『Dirty Dancing』『Priscilla Queen Of The Desert』をまとめて。

 『Dirty Dancing』(8月28日15:00@Aldwych Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『Dirty Dancing』の設定は1960年代前半、価値観が大きく変わりつつあるアメリカ。避暑地で出会ったダンサーを通して大人の世界に踏み込んでいく少女の物語。
 使われている楽曲には、若者向けだけでなく、当時のスクエアな大人たちの聴いていたヒット曲も含まれる。主だった登場人物は歌わないのが特徴で、彼らはもっぱら踊る。
 少女と恋に落ちるダンサーを演じるマーティン・ハーヴェイの踊りは、ロイヤル・バレエで活躍しただけあって、迫力がある。たたずまいもセクシーで魅力的。
 しかしながら、演出(ジェイムズ・パウエル)がどうにも緩く、全体としては凡作の印象。>

 ヒロインは、マシュー・ボーンズ・ダンス・カンパニー所属のハナ・ヴァッサロ。
 脚本は1987年の映画版同様エレノア・バーグスタイン。ちなみに、同映画の監督エミール・アルドリーノは後に『Sister Act』を撮る人。
 振付ケイト・チャンピオン。
 元々の舞台は2004年のオーストラリア産。2014年にはブロードウェイに上陸して、それなりに続くから不思議。
 

 『Priscilla Queen Of The Desert』(8月31日19:30@Palace Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<今回観た“ジュークボックス・ミュージカル”の中で最もよくできているのが、これ。
 シドニーのナイトクラブで働くドラァグ・クイーン(女装の男性)3人がバスに乗り、砂漠を越えて保養地アリス・スプリングスに行くという話は、ロード・ムーヴィー的なだけに風景の広がりがある映画には及ばないが、人情コメディとして手堅くまとめてある。
 ド派手な衣装のドラァグ・クイーンたちによるショウ場面をディスコ調にアレンジされた有名ヒット曲に乗せてグイグイ見せる部分(口パク。歌は空から降りてくる3人のディーヴァたちが担当)と、意外なヒット曲を心情吐露に使うドラマ部分との組み合わせが、乱暴なようで案外うまく舞台を転がしていく。
 オリジナルのシドニー版でも同じ役を演じたという中年のトニー・シェルドンの存在感が大きいが、狂言回し役(あのポップ・シンガーの)ジェイソン・ドノヴァン、キレ気味の若手オリヴァ・ソーントンという3人のドラァグ・クイーンが皆いい。
 観て損はない。>

 元の映画(邦題『プリシラ』)は1994年製作で、オーストラリア産。細かく言うと映画版のタイトルは頭に「The Adventures Of」と付く。その監督・脚本を手がけたステファン・エリオットが、この舞台版の脚本も共同執筆。もう1人の脚本家はアラン・スコット。
 演出サイモン・フィリップス。振付ロス・コールマン。

 宙吊りで登場するディーヴァは、ゾーイ・バーケット、ケイト・ギレスピー、エマ・リンダースの3人。
 バーナデット役のトニー・シェルドンは3年後のブロードウェイ版にも登場する。

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