The Chronicle of Broadway and me #300(Red Hot Mama)

2002年7月@ニューヨーク(その4)

 『Red Hot Mama』(7月10日14:30@York Theatre)は、シャロン・マックナイトの自作自演によるワン・パーソン・ショウ。
 マックナイトは、短命に終わったブロードウェイ・ミュージカル『Starmites』(1989年)でトニー賞主演女優賞にノミネートされている。同作上演中にニューヨークにいながら観なかった事情は、こちらに書いた通り。たいした事情ではないが(笑)。

 マックナイトが演じたのはソフィー・タッカー。
 ヴォードヴィルで成功し、ブロードウェイではジーグフェルド・フォリーズにも出演。映画やTVにも出て1966年まで生きたタッカーは、アメリカではかなり知られた存在。
 1886年ウクライナ生まれのユダヤ人で、生まれた翌年、アメリカに移住。一家はボストンを経てコネティカットに落ち着き、レストランを開く。幼い頃、その店でチップ目当てに歌ったのが芸能の道への始まりとか。17歳で駆け落ち。家に戻って正式に結婚。息子を出産するも離婚。息子を両親に預け、ヴォードヴィリアンからもらったプロデューサーへの紹介状を携えてニューヨークに出るが仕事はもらえず、カフェやビアホールで歌いながら、実家に仕送りをする。……と、これは英語版ウィキペディア情報。
 そうした細かいところにまでマックナイトが触れたかどうかは、もはや覚えていないが、タッカーの持ち歌を歌いながら人生をたどるという内容だったことは確か。元々は1996年に『The Sophie Tucker Songbook』というタイトルでキャバレー・ショウ向けに作った、歌がメインの出し物で、それを舞台用に拡大させたらしい。

 ソフィー・タッカーは、太り気味の体形を自慢するコメディエンヌ。笑える歌やきわどい歌を得意とする一方、泣けるトーチ・ソングも歌うという、懐の深い、親しみやすいキャラクターだったようで、その辺が自身に通じるという思いでシャロン・マックナイトは採り上げた、ということなのだろう。
 ちなみに、ショウのタイトルは、世間がタッカーに与えた称号「The Last Of Red Hot Mamas」から来ている。

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