The Chronicle of Broadway and me #311(Hairspray[2])

2002年11月@ニューヨーク(その4)

 『Hairspray』(11月22日20:00@Neil Simon Theatre)、2度目の観劇の感想。こちらからの続きとしてお読みください。

<というわけで早速2度目の観劇となった『Hairspray』。細部にまで目が行って、いっそう楽しめた。

 ことに、前回もちょっと触れたが、トレイシーの本筋を補うように脇でさりげなく進行していくトロい親友ペニーのエピソードが、観れば観るほどよく考えられていて、面白い。
 前回書かなかったけれども、実はペニーはシーウィード(コリー・レイノルズ)と惹かれ合う。で、リンク(マシュー・モリソン)がトレイシーを救いに行く時、同時に、黒人嫌いの母親に監禁されたペニーをシーウィードが救いに行くシーンも並行して描かれる。このあたりから両カップルは、ほぼ同等に扱われ始め、おかしな脇役だったペニーは、最後にはゴージャスな娘に変身して、母親をも納得させてしまう。
 声高な主張など全くなしに、ただただ大好きなブラック・ミュージックと大好きになったシーウィードへの思いに身を任せることで、一貫して黒人を拒否していた母親の心を翻させるペニーは、もしかしたらトレイシー以上に過激な存在なのかも。
 誰も観てないところで(いつもクチャクチャやってる)ガムをビヨーンと引っぱってみたり、みんながノリノリのところで1人ノリ遅れて踊ってみせたりするペニー役ケリー・バトラーの演技は、個人的にはトニー賞もの。最後にキメて踊ってみせるのもカッコいい。

 ところで、今回は無事に、メリッサ・ジャレット・ウィノカーのトレイシーを観ることができた。
 印象は前回の代役ケイティ・グレンフェルとほとんど同じだが、まあ、トレイシーのキャラクターはウィノカーが作ったのだろうから、それは当然と言えば当然。チャーミングでエネルギッシュ。魅力的だった。

 最後に 1つ訂正。
 こちらに、装置のところで、「上からズラッと下がった帯状の板」と書いたが、実際には、枠組みに布を張ったものだった。だから、後ろから光を当てると透けて見えるわけですね。半透明の板かと思いましたが、違ってました。>

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