The Chronicle of Broadway and me #345(Kiki & Herb: Coup de Theatre)

2003年7月~8月@ニューヨーク(その8)

 『Kiki & Herb: Coup de Theatre』(8月2日19:00@Cherry Lane Theatre)は、4月25日にプレヴュー開始、5月7日に正式オープンして10月4日まで続いている。
 今から振り返ると、ジャスティン・ボンド(歌・脚本)とケニー・メルマン(ピアノ・音楽監督)の2人が1990年代初頭から続けてきたキキ&ハーブ名義でのデュオ・パフォーマンスが、最初のピークを迎えようとしている時期の公演だったようだ(演出スコット・エリオット)。具体的には、キャバレー・シーンから一般劇場への進出、という形で。
 この翌年、彼らはカーネギー・ホールで一夜限りのショウを開く(実況録音盤『Kiki & Herb Will Die For You』は配信で聴くことができます) 。
 でもって、2006年夏には1か月間ブロードウェイのヘレン・ヘイズ劇場で公演を行なっている(2006/2007シーズンのトニー賞でBest Special Theatrical Event賞を受賞)。

 ジャスティン・ボンドはドラァグ・クイーンで、演じるキキというキャラクターは、アルコール中毒のヴェテラン・ラウンジ・シンガーという設定。ケニー・メルマン演じるハーブは、キキの伴奏ピアニストでゲイ、という設定 。
 その設定の下で、キキはハーブの演奏をバックに、自分たちの過去を語り、歌に託して心情を吐露する 。
 ただし、こちらに書いた「アメリカの暗部を容赦なく暴き出す内容に、たじろぎながらも感動する。」ってのが、どういう内容だったのかは覚えていない。何かしら極東の異邦人にもわかるネタが披露されたのだろう。

 「シャーリー・バッシー・ミーツ・ジョニー・ロットン」というのがヴァラエティ誌の劇評におけるチャールズ・イシャーウッドの、 ジャスティン・ボンドの歌に対する表現 。
 007『Goldfinger』の主題歌で知られるウェールズ出身の迫力たっぷりの女性歌手と、ロンドン・パンクのあだ花セックス・ピストルズのヴォーカリスト(本名ジョン・ライドン)の融合とは、言い得て妙。歌うジャンルも、シャンソンから最近のロック、R&Bまで様々。

 ジャスティン・ボンドは、近年、ジャスティン・ヴィヴィアン・ボンド名義でソロ活動も行なっているようだ。

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