The Chronicle of Broadway and me #344(Boobs!: The Musical)

2003年7月~8月@ニューヨーク(その7)

 『Boobs!: The Musical』(8月2日21:30@Triad Theatre)については、観劇当時の概略に次のように書いてある。

 「ルース・ウォーリスという’40年代~’50年代に活躍したらしい、今で言うシンガー・ソングライターのコミック・ソングを使って、ピアノをバックに男女2人ずつが歌い踊る。劇場は、かつて『Forbidden Broadway』をやっていたこともあるレストラン・シアターで、しかも出演者の構成も同じなので、印象が似ている。芸達者による手堅く楽しいショウ。」

 が、明らかな誤りがある。出演者の人数が違っている。プログラムによると、男女3人ずつだ。その他に男女1人ずつがアンダースタディとして記載されているから、出演していたのが男女3人ずつで間違いない。なぜ間違えたのか、今となっては理由は不明。
 それから、楽曲作者の名前の読みは、日本ではルース・ウォリスとして流通しているようだ。

 そのルース・ウォリス、1920年生まれながら2007年まで生きているので、この時はご存命だったことになる。キャバレーを回るジャズ・シンガーとしてスタートしているが、上述のように1940年代から’50年代にかけて自ら書いて歌った、ちょっと皮肉なコミック・ソングが当たって有名になった、と。

 ショウのタイトルになっている「Boobs」も、そんなヒット曲の1つ。その冒頭は、こんな感じ……。あ、 Boobsというのは「おっぱい」という意味です 。
 「おっぱいが必要/大物や田舎者を惹きつけるには/おっぱいはセーターに入れなくちゃ/2つ必要だけど3つあった方がいいかも」
 途中にこんなフレーズも。
 「おっぱいがあれば恋を始められる/男の人をすぐに立たせるし、彼の……帽子を脱がせる/(韻を踏んでないけど、ここは合法的にね)」
 ()内は歌手自身による解説と言うか心の声というか、そういうもの。
 彼女の最大のヒットらしい「Queer Things」という曲は、結婚した相手(花婿)が同性愛者あるいはトランスジェンダーだった、という内容。
 こうした楽曲が、工夫を凝らした曲調で、あっけらかんと歌われているところが人気の所以か。もちろん歌はうまいし、ハスキーな声も魅力的。ライヴ音源を聴くと、しゃべりも巧み。歌うスタンダップ・コミック、といった存在だったのだろう。配信でかなりの量の音源を聴くことができます。

 舞台は、そんなウォリス楽曲の内容に合わせたスケッチ(小芝居)集として構成されていた(はず)。

 原案・脚本はスティーヴ・マッカーズ&マイケル・ホワイリー 。
 演出のドナ・ドレイクはブロードウェイ初演『A Chorus Line』のトリシア役オリジナル・キャストだった人 。
 振付ローレンス・レリッツ。

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