The Chronicle of Broadway and me #386(People Are Wrong!)

2004年11月@ニューヨーク(その6)

 『People Are Wrong!』(11月20日21:00@Vineyard Theatre)について観劇当時、旧サイトに書いた感想は次の通り(<>内)。

<現代版『The Rocky Horror Show』の趣き。ただし、主人公のカップルは、森の中の古城に行くのではなく、郊外に家を持つ。で、教祖のような男はエコロジカルな造園家として現れる。
 実話だと断わって始まるが、それがウソではないと思われるあたりに、アメリカの怖い一面がある。
 舞台の充実度はもうひとつか。>

 『The Rocky Horror Show』は、婚約した若いカップルの乗ったクルマが嵐の中で故障し、助けを求めて訪れた森の中の古城で、マッド・サイエンティスト率いる奇怪な連中に出会い、異様な世界に絡めとられていく話。成人向けSFホラー風味アメリカン・コミックのパロディのような同作より、郊外(キャッツキル)の狭いコミュニティのカルトな空気にジワジワと追いつめられていく当作の方が、同じようにSF風味でコミカルに描かれていても、現実味が強くて怖い。

 この公演の話題の1つは、パワー・ポップ風味のオルタナ・ロック・バンド、TMBG(ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツ)のジョン・フランズバーグが主人公カップルの片割れとして出演していたこと。
 その背景には、作者(楽曲・脚本)の1人がロビン・ゴールドワッサーだったことがある。彼女はTMBGと共演もするミュージシャンであると同時にフランズバーグの結婚相手でもある。でもって、役者としてこの舞台に登場してもいる。役柄が実在する農業用飼料・種子・肥料・除草剤等の会社の経営者というあたりがエグい。
 作者(楽曲・脚本)のもう1人はジュリア・グリーンバーグ。ゴールドワッサーもグリーンバーグも、ルーザーズ・ラウンジという、様々なアーティストの楽曲をカヴァーするトリビュート・バンドのメンバーだとか。
 記憶は曖昧だが、ゴールドワッサー&グリーンバーグの楽曲はTMBGの作風に近いものだったと思う。
 伴奏バンドの編成は、ピアノ/キーボード、ギター、ギター/ラップ・スティール、ベース、パーカッションの5人組。
 キャスト・スタッフ両方で、人脈的に『Hedwig And The Angry Inch』とつながりがあるようだ。

 演出デイヴィッド・ハースコヴィッツ、振付ジョディ・リップリンガー。

 10月22日プレヴュー開始、11月4日正式オープン、11月27日クローズの期間限定公演。

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