The Chronicle of Broadway and me #784(怪談乳房榎)

2014年7月@ニューヨーク(その4)

 『怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)(7月12日19:00@Rose Theatre/Lincoln Center’s Frederick P. Rose Hall)は、夏に行なわれるリンカーン・センター・フェスティヴァルに参加しての、平成中村座公演(三遊亭圓朝の創作で、落語では「の」を抜いて「ちぶさえのき」と呼ばれるようだ)。
 1回目が2004年7月『夏祭浪花鑑』@ダムロッシュ・パーク/リンカーン・センターに建てた仮設小屋。2回目が2007年7月『連獅子』『法界坊』@エイヴリー・フィッシャー・ホール(現デイヴィッド・ゲフィン・ホール)/リンカーン・センター。この3回目は、リンカーン・センターの飛び地にあるローズ劇場での開催。勘三郎没(2012年)後初の中村屋兄弟によるニューヨーク公演となった。

 勘九郎、七之助の他に、中村獅童、片岡亀蔵が参加。ほぼ同じメンバーで前年3月に「中村勘九郎襲名記念」として赤坂アクトシアターで同演目を上演している。その時(2013年3月9日)の感想(の一部)は次の通り。

<中村屋おなじみの『怪談乳房榎』の通し。今回は、滝の場面の後に、タイトルの由来である乳房榎前での大詰めまでやっていた。
 “中村勘九郎三役早替りにて相勤め申し候”とある通り、菱川重信、下男正助、うわばみ三次を勘九郎が演じる。悪役磯貝浪江が獅童、重信妻お関が七之助。亀蔵が松井三郎を演じて最初と最後を締める。>

 ローズ劇場はジャズなどのコンサート用劇場で、歌舞伎に相応しいとは言い難い作りだが、それでも楽しく観た。
 もっとも、ブロードウェイ・ミュージカルはブロードウェイの劇場で観る方が来日公演を観るより楽しいように、歌舞伎は日本の劇場で観る方がより楽しくはある。その場にいる観客の文化や小屋の作りも含めての観劇なのだと改めて思う。

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