The Chronicle of Broadway and me #783(Atomic)

2014年7月@ニューヨーク(その3)

 『Atomic』(7月11日20:00@Acorn Theatre/Theatre Row)は、ハンガリー出身の科学者レオ・シラードの世界初の原子爆弾開発にまつわるミュージカル。
 シラードは、アインシュタインを通じてローズベルト大統領に原子爆弾開発(マンハッタン計画)を促した人物として知られる同計画の中心人物だが、陸軍との確執が生じて日本への無警告の原爆投下を阻止しようとしたとも言われ、その真偽と共に評価が割れているという。この舞台では、原爆を開発したものの、その破壊力の大きさに恐れを抱き苦悩する人物として描かれている。

 見た目が金属的/無機的な格子状のセットと、核爆発を思わせるような刺激的な照明とが、化学実験室的世界観を連想させると同時に終末感も漂わせる(装置ニール・パテル、照明デイヴィッド・フィン)。
 楽曲は基本的には、バラードも含め哀愁系のハード・ロック。個人的には、その辺に物足りなさを感じた覚えがある。

 作曲・作詞フィリップ・フォックスマン、作詞・脚本ダニー・ギングズ&グレゴリー・ボンシニョーリ。……なのだが、現在公開されている、この作品の公式サイトのクレジットからはグレゴリー・ボンシニョーリの名前が消えていて、なおかつ、楽曲のタイトルも観劇時のプログラム記載のものから多くが変更されている。オフ上演後、手が加えられたということだろうか。
 演出ダミアン・グレイ。振付グレッグ・グレアム。

 レオ・シラード役は、『Footloose』で主人公レンを演じたジェレミー・クシュニア(『Jesus Christ Superstar』)。

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