The Chronicle of Broadway and me #355(Never Gonna Dance[2])

2004年1月@ニューヨーク(その3)

  『Never Gonna Dance』(1月7日20:00@Broadhurst Theatre)について、前回(2003年11月1日)に次いで2度目の観劇をした後に旧サイトに書いた感想。前回の「アステア&ロジャーズ世界の再現なるか」の続きです。

<12月4日に無事オープンした『Never Gonna Dance』。前回観て以降、順調に練り上がったようで、展開は淀みなく快調になり、それなりに楽しい舞台に仕上がっていた。ラッキーの蹴った紙コップは、全く危なげなくゴミカゴに入っていたし。

 目についた変更はと言えば、ラッキーがペンシルヴェニアからニューヨークに向かうところで見せていた、列車を模した男性アンサンブルのダンスがなくなったことで、次がダンスの見せ場(グランド・セントラル・ステーションでの「I Won’t Dance」)であることを考えれば、この省略は正解だろう。
 もう1つ、第2幕に、カレン・ジエンバがセントラル・パークでペニーを諭すシーンがあり、ここでジエンバがソロで踊った気がしていたのだが、ほとんど歌だけになっていた。これはこちらの記憶違いかもしれないが、どちらにしても、前回のジエンバに関する記述の内、 「ソロ・ダンスの見せ場が用意されて」という箇所は、「カンパニーをリードして踊るダンスの見せ場が用意されて」と訂正しておく。

 と、まあ、流れはよくなっていたものの、主演の2人、ノア・レイシーとナンシー・レメネイジャーに華が足りないのは動かしがたく、これが10年前のハリー・グローナーとカレン・ジエンバだったら、と思わずにいられなかった。

 もっとも、それも、脚本にアイディアが詰まってさえいれば、あまり気にしないで観ていられたのかもしれない。が、いかんせん、場のつなぎを、コメディ・リリーフ(ホームレス役ピーター・ゲレティや恋敵のバンド・リーダー役デイヴィッド・ピットゥ)の個人技に頼らざるを得ない、という展開の中では、いろんなアラが目立ってしまうのだろう。
 コーラス・ボーイ3人を引き連れて随所に現れ、怪しげな英語でコミカルに歌うピットゥの奮闘ぶりは“怪演”と呼びたくなるほどで、とりあえずは大受けだが、お寒い脚本の裏返しだと思うと痛々しく見えたりもする。

 そんなわけで『Never Gonna Dance』、トニー賞授賞式まで持ちこたえるかどうか微妙。興味のある方はお早めに。>

 残念ながら、危惧した通り、この年の2月15日に幕を下ろした。
 トニー賞では、カレン・ジエンバが助演女優賞に、ジェリー・ミッチェルが振付賞にノミネートされた。

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