ナイツ・テイル~騎士物語~[2]@帝国劇場 2021/10/25 12:30

 「おそらく国内ミュージカルとしては今年一番の収穫だろう」と書いたのが3年前の夏。初演観劇後の感想だった。
 3年ぶり(そんな経ってたのか!)にリヴァイヴァル版を観て、同じ感想を持った。ってか、とにかく面白い。国内で観るミュージカルで、そこまで思う作品って、なかなかない。
 そんなわけで、3年ぶりのこのリヴァイヴァル版も、おそらく国内ミュージカルとしては今年一番の収穫だろう。

 基本的な感想は初演版と変わらない。がんばって書いているので(笑)、この作品に対する評価は、そちらをご覧いただきたいが、今回のリヴァイヴァルは、さらに上積みがある。

 例えば、その初演の感想で「若干弱い」と書いた「娘役2人の歌」が明らかに向上。安定していたこと。
 娘役2人。音月桂と上白石萌音。ことに、上白石萌音の、「ちょっとだけ泣いて/ちょっとだけ死ぬ」という、コール・ポーターの名曲「Ev’ry Time We Say Goodbye」に触発されたような印象的な歌詞のある「牢番の娘の嘆き」という(タイトルが付いているらしい)歌のせつない心情が、今回はしっかり伝わってきた。

 楽曲のよさは初演の感想にも書いたが、編曲も、より練られた感じがある。その一端だろう、前回同様参加の邦楽奏者4人の編成が変更され、和太鼓が1人減。和太鼓、篠笛・能管、津軽三味線に、新たに尺八が加わっている。その効果は、幕開きから顕著。印象的な音色を響かせていた。
 また、メインの役者の歌唱に寄り添う(あるいはコール&レスポンス的に盛り上げる)コーラスが巧みに盛り込まれて、楽曲に膨らみを与えているのに改めて気づいた。

 全体に、初演時の張りつめた高揚感の代わりに、余裕から生まれる別種の高まりが感じられて、それが観ている側に“楽しさ”として伝わってきていたと思う。そして、堂本光一×井上芳雄の比類なきコンビネーション。
 また観られてよかった。

 

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