The Chronicle of Broadway and me #741(A Night With Janis Joplin)

2013年9月@ニューヨーク(その2)

 (追記)『A Night With Janis Joplin』(9月25日14:00@Lyceum Theatre)についての以下の文章は、2022年夏前にアップしてありました。冒頭の日本版上演とWOWOWのオンエア情報は過去のものです。

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 この夏(2022年8月下旬)『ジャニス』というタイトルで日本版が上演されるのが、この作品。アメリカ版の舞台映像は『ジャニス・ジョプリン』のタイトルで2021年夏に松竹ブロードウェイシネマで一度上映されているが(未見)、今回の日本版の上演を前に、そちらもWOWOWでオンエアされるようで。
 この際ですので、一応、ブロードウェイ版の観劇当時の感想を上げておきます(<>内)。

<観たのはプレヴューが始まって6日目(正式オープンは10月10日)。
 亡きジャニス・ジョプリン(1943年~1970年)の“架空の”ライヴ、という設定の作品。当然のごとく既成の楽曲を使った“ジューク・ボックス・ミュージカル”(この言葉も当たり前になりすぎて聞かれなくなった)ということもあり、あまり期待しないで観たが、迫力ある歌と演奏は胸に迫るものがあった。
 最大の勝因は、ヘタにドラマにせず、演奏の充実に主眼を置いたところか。歌も演奏も単なるモノマネに終わっていない。
 ジャニスが敬愛した女性歌手たち(ベッシー・スミス、ニーナ・シモン、オデッタ、アレサ・フランクリン、エタ・ジェイムズ)、及び、無名の(あるいは象徴としての)ブルース歌手とブルースを歌う巷の女性を自在に登場させ、それぞれ歌わせて、ジャニスに代表される女性歌手たちのドラマとして印象づけるアイディアも成功の一因(この時空の超え方が“架空の”と言った由縁)。劇場に集った客層も含め、全体に1970年前後のフェミニズムの空気が漂っていた。
 ちなみに、ジャニス役は、メアリー・ブリジェット・デイヴィーズとケイシー・クラントンのダブル・キャストとなっているが(あの熱唱を1人で週8回こなすのは、さすがにきついのだろう)、観た回は土曜の昼公演だったこともあり、アンダースタディのアリソン・キューザノという人だった。が、全く不満はなかった。
 加えて、ジョプリネアと呼ばれるジャニスのバック・コーラスの黒人女性4人組がいて、彼女たちが、先に挙げたジャニス以外の女性歌手たちも演じるのだが、これがまた、みんなうまい。タプリナ・ミシェル・オーガスティン、ディアドゥル・アジーザ、ニッキ・キンブロー、アリソン・ブラックウェルという面々だった。>

 脚本・演出ランディ・ジョンソン。振付パトリシア・ウィルコックス(『Motown The Musical』)。
 メアリー・ブリジェット・デイヴィーズは2013/2014シーズンのトニー賞で主演女優賞の候補になっている。

 なお、舞台映像については、WOWOWのサイトによると収録が2018年となっている。であるならば、映像化されたのはツアー版の舞台ではないかと思われる(ブロードウェイ上演は2013年9月20日から2014年2月9日まで)。脇の出演者も替わっているし。
 また、松竹ブロードウェイシネマの時点から主演者の日本語表記が「メアリー・ブリジット・デイヴィス」で統一されているようだが、綴り(Mary Bridget Davies)から言っても、トニー賞候補者発表時の発音から言っても、メアリー・ブリジェット・デイヴィーズと書くのが適当だと思う(ブリジェットはともかく、デイヴィーズは動かないだろう)。

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