The Chronicle of Broadway and me #295(Sex!: The Musical/Menopause)

2002年5月@ニューヨーク(その6)

 Sex!: The Musical(5月4日23:00@Danny’s Skylight Room Cabaret)というタイトルのミュージカルは、検索すると複数出てくる。どれも小規模で、しかも、決定打と言える作品はないようだ。これも、そんな中の1つ。

 8ページあるプログラムの7ページ目に、こんな告知が載っている。
 「あなたはソングライターですか? あなたは優れたセックス・ソングを知っていますか?
 『Sex! The Musical』は、ショウの規模を拡大するために楽曲を探しています。
 詳しくは公式サイトで。」
 で、上演時点での楽曲作者を見ると、総勢15人。セックスにまつわる多様な楽曲を集めて構成したスケッチ集的ショウで、まだ発展の余地がある、ということだ。少なくとも観た時点では。
 楽曲の内容については覚えていないが、「Blow Me」とか「Viagra In The Waters」とかっていう、いかにも笑いをとりそうな身も蓋もないタイトルの曲や、「Masochism Tango」という振付が目に浮かびそうなダンス曲があったりする。終盤の「Hold Me Tonight」なんてのは、せつないラヴソングだったんだろうな。

 出演者は男女2人ずつの4人組という、オフのこうしたショウの典型スタイル。
 セバスティアン・アーセラス、ロン・バトラー、キャサリン・カーペンター、ジュリー・ライバーという面々だが、その後も活躍しているようで、ご同慶の至り。

 原案デイヴィッド・コフマン、演出・振付オヴィ・ヴァーガス。

 劇場のダニーズ・スカイライト・ルームは46丁目のレストラン・ロウにあったレストラン・シアターだが、2007年1月にクローズしている。


 Menopause(5月5日19:30@Theatre Four)は、更年期(menopause)を迎えた女性たちが主人公のミュージカル。
 元々はフロリダ、オーランドの小さな劇場で前年の3月にオープンした作品。このオフ・ブロードウェイ版は、この年4月に幕を開け、秋に劇場を移して2006年5月まで続くヒット作となる。作品自体は今も、国内のみならず、世界各地でツアーが行われているという。

 舞台設定はニューヨークのデパート、ブルーミングデールズ。その下着売り場に居合わせた、立場の違う4人の女性が、更年期を迎えてのそれぞれの悩みを歌に託して吐露していく。
 その「歌」が、作品の肝の1つ。もっぱら1960年代を中心にして、’50年代半ばから’80年代半ばまでを含む既成のヒット曲がズラリと並ぶのだが、それに独自の歌詞が付けられているのが、その辺のジュークボックス・ミュージカルより上を行く。
 作詞・脚本のジーニー・リンダーズが1948年生まれ。彼女が同世代(ベビー・ブーマー)の嗜好に合わせて選曲し、同世代の女性の悩みに合わせて歌詞を書いた、ということだと思う。
 下着売り場から始まることでもわかるように、この作品でも『Sex! The Musical』に似て、歌の内容はセクシャルな方面に振れていく。ぶっちゃけた感じで。それが同世代の観客層の心に刺さったのだろう。

 観た時点でのキャストは、ジョイ・リン・マシューズ、サリー・アン・スワーム、ジョイス・A・プレスティ、キャロラン・ペイジ。
 演出のキャスリーン・リンゼイ、振付のパティ・ベンダーは、初演のオーランド版からそのまま。

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