The Chronicle of Broadway and me #359(Alice In Wonderland/Urinetown[2])

2004年1月@ニューヨーク(その8)

 『Alice In Wonderland』(1月12日18:00@Kirk Theatre)のサブタイトルは「An Adult Musical Comedy」。でもって、フライヤー等には「Mature Audiences ONLY!!」と書かれている。
 それもそのはず、元になっているのは1976年のR指定(17歳未満は保護者の同伴が必要)になったセクシャルな内容の同名ミュージカル映画。同作は、後にプロデューサーの1人が全く別の映像を挿入してハードコア・ポルノに仕立て直されたという。
 そのプロデューサーこそが、1974年の話題作『Flesh Gordon』(SFコミック→映画『Flash Gordon』のパロディでやはりポルノっぽい映画)も手がけたウィリアム(ビル)・オスコで、この舞台版のプロデュース、それに演出も(おそらく脚本も)彼だ。
 上掲写真のフライヤーに「Burlesque – Back Where it Belongs! On 42nd Street」とあるのは、かつてニューヨーク劇場街で隆盛を誇ったバーレスクの復活を意図しての公演だ、という宣言か。

 観劇当時、「大ハズレ。よっぽどの物好き以外は観ないこと。」と書いているからには、“よっぽど”がっかりしたんだと思うが、そのことすら覚えていないのは、退屈で眠かったのか(笑)。
 少しは覚えていてほしかった、と今にして思うのは、楽曲作者がワー・ワー・ワトソンだから。なぜか表向きはTaywahという名義でクレジットされているが、プログラムの「Who’s Who」欄には楽曲作者としてワー・ワー・ワトソンの名で載っている。後期モータウンのハウス・バンドにいたギタリスト。よく知られているのはテンプテーションズの「Papa Was A Rollin’ Stone」での演奏。
 この舞台版の楽曲は、映画版とは別に彼が書き下ろしたらしい(映画版の音楽クレジットはジャック・スターン)。キャスト録音が残されていないようなので、音楽についても記憶をたどるすべがない。それだけが残念。
 

 『Urinetown』(1月10日20:00@Henry Miller’s Theatre)は、1週間後に閉まるというので記念の再見。911の翌々日が正式オープン予定だったものを1週間遅らせてなんとかスタート、という苦難の立ち上げだっただけに、関係者にとって、2年半近いロングランの終了は感慨も一入でしょう。
 内容については、前回の感想に付け加えることはない。一応、主要キャストの変更だけ書いておくが、途中抜けていたオリジナル・キャストが戻って来ていたりもする。

 狂言回しのロックストックとリトル・サリーのジェフ・マッカーシーとスペンサー・ケイデンが、その抜けた後に戻った組。
 ジョン・カラムだったクラッドウェル役はチャールズ・ショーネシーに、ナンシー・オペルだったペニー役はキャロリー・カーメロに、ハンター・フォスターだったビリー役はローレンス・E・ストリートに替わっているが、観た日はローレンス・E・ストリートがミスター・マックイーン役を演じていて、ビリーは代役でジェイムズ・モイエ。
 前回観劇時にジェニファー・ローラ・トンプソンの代役でエリン・ヒルが演じていたホープ役は、エイミー・スパンガー(1999年版『Kiss Me, Kate』)に替わっていた。

The Chronicle of Broadway and me #359(Alice In Wonderland/Urinetown[2])” への1件のフィードバック

コメントを残す