太平洋序曲(Pacific Overtures)[3]@KAAT神奈川芸術劇場 2011/06/20 19:00

 『Pacific Overtures』日本語版『太平洋序曲』の日本国内再々演について、観劇後に旧サイトに書いた感想です。

<宮本亜門演出の『Pacific Overtures』日本語版『太平洋序曲』は、2000年10月新国立劇場初演2002年7月リンカーン・センター(エイヴリー・フィッシャー・ホール)公演2002年10月新国立劇場再演と追いかけ、その後の2004年英語版ブロードウェイ公演で中途半端な感じで放り出された気がした。
 その経緯は、ぜひ各公演の感想を読んで、追ってみていただきたい。

 その流れで言うと、「日本語版のさらなる再演」である今回の神奈川公演によって、亜門版『Pacific Overtures』の「刺激的な試み」は一応の円環を閉じることにはずだった。……のだが、残念ながら今回の公演は、単なる再々演に過ぎなかった。

 主要となる3人(香山弥左衛門役=八嶋智人、ナレーター=桂米團治、ジョン万次郎役=山本太郎)がやや物足りなかったことを除けば、キャストには力があり、その力を発揮してもいた。
 しかしながら、日本語版の、初演、再演、リンカーン・センター公演の時に感じた、観客だけでなく、舞台を作る側も驚きながら作っているような、そんな計測不能な不思議さがまるでなかった。全てが収まるところに収まっている感じ。ブロードウェイ上演を経た後なので、観客の側の受け止め方も変質しているのだろうが。
 ラスト・ナンバー「Next」は震災後の日本を捉え直す契機を孕んで、変わらず今日的ではあった。が、舞台全体からガツンと迫ってくるものが足りない。個人的な妄想から来る期待が大きすぎたのかもしれないが。>

 この変質の原因、一つには時間が経ち過ぎたことがあったのかもしれない。まあ、でも、面白い追跡だった。

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