★2018年1月@ロンドン(その3)
『Everybody’s Talking About Jamie』(1月27日19:30@Apollo Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想を、映画化されてアマゾン・プライムでの配信が始まったタイミング(2021年秋)でアップしてあったものです(<>内)。最後に出演者について少し追記しました。
<『Everybody’s Talking About Jamie』はドラァグ・クイーンになりたい高校生ジェイミーの話。2011年にBBCが作った「Jamie: Drag Queen at 16」というドキュメンタリーが元だそう。
活きのいい楽曲は作曲ダン・ギレスピー・セルズ×作詞トム・マクラエ(※注)のコンビ。
セルズはザ・フィーリングというバンドのヴォーカリストとして知られる人(1978年生まれ)。マクラエは作家・脚本家で、この作品の脚本も彼が書いている(1980年生まれ)。
学校では偏見を持たれながらも、母親とその友人(女性)に温かく見守られている、という主人公の設定がユニーク。が、一方に、別れて暮らす無理解なマチズモ信奉者の父親がいたりするのだが。
ドラァグ・クイーン専用衣装の店の店主が、彼自身もドラァグ・クイーンという立場で、いい味を出す。
すごく優れた作品というわけではないが、わざとらしくない温かさの籠もった、後味のいいミュージカル。主演のジョン・マックレアの不思議な魅力も印象に残る。
演出・共同脚本のジョナサン・バタレルは振付出身で、ブロードウェイでも、『Nine』(2003)、『Fiddler On The Roof』(2004)、『Assassins』(2004)、『The Light In The Piazza』(2005)で質の高い仕事をしている。今回の映画版で初監督。
ただし、この作品の振付はバタレルではなくケイト・プリンス(映画版も)。
2018年のオリヴィエ賞では、ニュー・ミュージカル賞、楽曲賞、主演男優賞、主演女優賞(母親役ジョシー・ウォーカー)、振付賞でノミネートされたが受賞せず。強力な『Hamilton』と渋い『Girl From North Country』に挟まれて、そこは不運だったかもしれないが、若い観客の支持を得てヒットしたのは、ご承知の通り。
(※注)翻訳上演をしているホリプロの公式サイトでは「トム・マックレー」と表記されているが、YouTube等で本人が紹介されている際の発音を聞くと「マクラエ」(あるいは「マクライ」)という表記が近いと思われる。>
母親役ジョシー・ウォーカー。その友人レイ役ミナ・アンウァー。主人公の親友プリティ役ルーシー・ショートハウス。ドラァグ・クイーン専用衣装店店主ヒューゴー役フィル・ニコル。
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