The Chronicle of Broadway and me #515(Jollyship The Whiz-Bang/The Great American All-Star Traveling War Machine)

2008年6月@ニューヨーク(その4)

 『Jollyship The Whiz-Bang』(6月6日20:00@Ars Nova)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<ロック・バンド+人形芝居のユニークな作品。どこがユニークかと言うと、人形芝居のバックでロック・バンドが演奏するのではなく、ロック・バンドが演奏しながら人形芝居をやるところ。
 しかも、主人公の人形はアル中の海賊で、演奏はパンク+アイリッシュ・トラッドの印象。やさぐれ感横溢のイカした舞台だった。>

 「A Pirate Puppet Rock Odyssey」という副題が付いている。
 作者はニック・ジョーンズとラジャ・アザール。「作者」と書いたのは、クレジットが「created」となっているからで、楽曲や脚本の表記がどこにもないことから推して、彼らが楽曲・脚本も書いたのだろう。この2人は、舞台上にいる7人組のバンドのメンバーでもある。
 演出のサム・ゴールドは5年後に『Fun Home』を手掛けることになる。人形デザインはポール・バーン。
 

 『The Great American All-Star Traveling War Machine』(6月8日15:00@Theater For The New City)

<初めて訪れる劇場だったが、ダウンタウンのコミュニティの核になっている印象。
 そのことと関係があるのかはわからないが、真っ向から反戦を訴える作品で、アメリカ合衆国が建国前後から延々戦争をやり続けていることを背景に、様々な時空に飛んで、様々なスタイルで戦争の断片を描いていく。
 残念ながら、意余って言葉足らずな仕上がりだったが、こうした試みが行なわれていることが興味深かった。>

 「季刊ラファムズ」(Lapham’s Quarterly)という雑誌の「States of War」特集号にインスパイアされた、とプログラムに書いてある。
 「様々な時空」の戦争状態の中には、アレキサンダー大王やエリザベス一世やパットン将軍やニクソン&キッシンジャー等々の“有名人”に交じって、名もなき兵士たちも登場する。面白いのは、カート・ヴォネガットの名前の付いた場面があること。おそらく、捕虜として味方(連合軍)のドレスデン爆撃を受けた話だったのだろう。覚えていないが(笑)。
 演出ジム・ニーセン。楽曲のクレジットがないところをみると、既存曲を使っていたのかも。

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