The Chronicle of Broadway and me #899(Hamlet/Spamilton)

2017年7月~8月@ニューヨーク(その7)

 『Hamlet』(8月1日19:00@Anspacher Theater/Public Theater)は、サム・ゴールド(『Jollyship The Whiz-Bang』『Fun Home』)の演出。
 音楽好きには映画『Inside Llewyn Davis』(邦題:インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌)での演技と歌が印象深いオスカー・アイザックが主演(ハムレット役)だが、ミュージカルではない。ただ、音楽的には、チェロ奏者エルンスト・レイスグルが舞台上で自作曲による伴奏を付ける、という特徴がある。観に行った理由は、そのあたりだったかも。

 視覚的には現代劇で、服装は概ねカジュアル(ケイ・ヴォイス)。装置として出てくるのは会議室で使うような安っぽい折り畳み式の机や椅子(デイヴィッド・ジン)。
 そこで展開される、時に悪ふざけのようにも見える、微妙に緊張した人間関係のドラマは、感触が『Fun Home』と似ていなくもない。出演者9人の内の大半が複数役を、それも主要な役をダブってこなす(例えば、王の亡霊と、王を殺したその弟クローディアスを同じリッチー・コスターが演じる)といった演出も、人間関係の濃密さを表現しているように見えて面白い。

 ミュージカル好きには『Schmigadoon!』でおなじみのキーガン=マイケル・キーがハムレットの親友ホレイショー役で出演。これがニューヨークでの舞台デビューだったとか。
 『Fun Home』で主人公の学生時代の恋人ジョーンを演じたロバータ・コリンドレスや、『Ragtime』初演のタテー役ピーター・フリードマン(『Fly By Night』『Sundown, Yellow Moon』)も出ていた。
 


 『Spamilton』(8月2日14:30@47th Street Theatre/Puerto Rican Traveling Theatre)は、『Forbidden Broadway』シリーズの作者ジェラルド・アレッサンドリーニが『Hamilton』の熱気に当てられて作ったと思しい新作(力作!)で、言ってみれば、パロディのネタをに『Hamilton』に絞った新たな『Forbidden Broadway』。と言いつつ、他の作品のネタも随時挿入されていたが。
 本家『Forbidden Broadway』と違うのは、出演者が1人多い5人なことと、別にゲストが1人出演していたこと。
 観た時の出演者は、クリス・アンソニー・ジャイルズ、ニコル・ヴァネッサ・オーティス、アーロン・マイケル・レイ、ダン・ロザレス、トリスタン・J・シュラー。ゲストはドロシー・キアラ。

 前年(2016年)の7月にアップタウンのトライアド劇場でスタートし、ミッドタウンにはこの年の6月に移ってきて、最終的には翌年1月7日まで続いている。

 創案・脚本・演出ジェラルド・アレッサンドリーニ。

The Chronicle of Broadway and me #899(Hamlet/Spamilton)” への1件のフィードバック

コメントを残す