The Chronicle of Broadway and me #617(The Great Unknown/Therapy Rocks/Frog Kiss/Special Letter/I Got Fired/Above Hell’s Kitchen)

2010年10月@ニューヨーク(その4)

 NYMF(ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル)参加作品特集。全15本を3分割して、その1。

 『The Great Unknown』(10月5日20:00@Theatre At St. Clements)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<南北戦争で英雄になった男が、義弟を含む仲間(かつての部下)たちと、グランドキャニオンのコロラド川を下る冒険に出る話。
 人間関係がしだいに緊張してくる話自体は、とりたてて言うほどのこともないが、ブルーグラス、カントリー系の楽曲はよくできていて、聴き応えがあった。>

 作曲・作詞ジム・ウワン。脚本ウィリアム・ハウプトマン。
 演出ドン・ステフェンソン。振付ライザ・ジェナーロ(『The Most Happy Fella』『Once Upon A Mattress』『The Tin Pan Alley Rag』)。
 

 『Therapy Rocks』(10月6日13:00@Urban Stages)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<主人公はシンガー・ソングライターの女性。恋に不器用な彼女が、恋の得意な親友の勧めでセラピストのところに行き、結果的に彼と恋に落ちる。
 主人公と親友、主人公とセラピストの対話で進む話は、ダイナミズムはないが、おそらくTVドラマ的な面白さがあるのだと思う。
 心情吐露の楽曲が主人公のリハーサルの形で挿入されるのがアイディアと言えばアイディア。>

 作曲・作詞カレン・ビシュコ。脚本カレン・ビシュコ、キーテ・ファイン、ナット・ベネット。
 演出トーマス・アルーソ。振付レイチェル・ブレス。
 

 『Frog Kiss』(10月6日14:00@Theatre At St. Clements)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<グリム童話のあの話(ごぞんじですよね?)を、ちょっと登場人物を現代的にヒネることで面白くしてある(そこに寓意がありそうだが、イマイチ不明)。
 と同時に、有名ミュージカルのパロディを随所に配してある。でもって、スタイルはオーソドックスなソング&ダンス・ミュージカル。カエル足のタップもある。
 というわけで、ミュージカル好きが気楽に楽しめる、という作品だった。>

 作曲エリック・スコール、作詞・脚本チャールズ・レパート。
 演出ケネス・L・ロバーソン。振付ローナ・ヴェントュラ。
 

 『Special Letter』(10月6日21:00@Duke On 42nd)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<韓国からの直輸入なので、韓国語上演、英語字幕付き。
 徴兵される若者たちの悲哀をユーモラスに綴った作品。
 欧米ミュージカルの模倣ではなく、地に足の着いた表現が好ましい。洗練なんて気にしない類のエネルギッシュさで最後まで突っ走るが、かと言って雑な作りというわけではない。兵役に対する複雑な心情をミュージカル・コメディにしてみせた手腕は賞賛に値する。
 途中、恋する女性をアイドルに例えて、想像の中でK-POP的ソング&ダンスを見せるアイディアも楽しい。>

 作曲チャン・ウック・マ、作詞・脚本・演出イン・サン・パーク。
 振付ドゥ・ヤン・ジャン。
 

  I Got Fired』(10月7日13:00@TBG Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<作者キース・ヴァーニー(原案・脚本・作曲・作詞・主演)の「馘首になった」体験が元との触れ込み。
 次々にライヴァルを追い落としていく強烈な上昇志向の女性の犠牲になる主人公の悲劇、といった内容だが、社員たちの描き方が皮肉でありながらユーモラスで、ちょっと変わった人々に対する愛情が感じられて、そこが面白い。
 狭い舞台上で少なくない登場人物を的確に動かしてみせる演出も見事。>

 作曲・作詞・脚本キース・ヴァーニー。原案キース・ヴァーニー&デヴォン・ゴフマン。
 演出スティーヴ・ベバウト。振付ドンティー・キーン。
 

 『Above Hell’s Kitchen』(10月7日17:00@TBG Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<ネタ元は『Don Giovanni』。そのロック・スター版といったところ。
 怪しげな人物がいろいろ出てくるが、主人公のロック・スターがセラピストに相談に来て体験を語るという構成が(オチも含めて)、あまりうまくいっていない。
 ただし、セラピスト役アンドレア・フライアーソン(『Once On This Island』『Marie Christine』)のゴスペル・ライクな歌は素晴らしい。>

 作曲・作詞・脚本ジョナサン・スポッティスウッド。
 演出ヘイリー・フィン。振付ジェニーン・モリナーリ。

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