The Chronicle of Broadway and me #856(Hadestown)

2016年7月@ニューヨーク(その2)

 『Hadestown』(7月17日19:00@New York Theatre Workshop)については、3年後のブロードウェイ版の感想を先行してアップ済み。作品についての詳細は、そちらをご覧ください。こちらは、それ以前に観たオフ・ブロードウェイ版について旧サイトに書いた観劇当時の感想です(<>内)。

『Hadestown』が面白かった。
 シンガー・ソングライター、アナイス・ミッチェルの2010年の同名アルバムの舞台化で、このアルバムの時点で、すでに複数アーティストを起用したミュージカル仕立てになっている(第1幕が素晴らしかったので、劇場窓口で売っていたCDを買って初めて知った)。
 演出は、3年前の9月にオフで観て、今度ブロードウェイで観る予定の『Natasha, Pierre And The Great Comet Of 1812』のレイチェル・チャヴキンで、劇場全体を使うアイディアや、即興劇的な感触、陰影が強調された照明等が、よく似ている。

 内容は、ギリシア神話のオルフェウスの“冥府くだり”の段だが、「Why We Build The Wall」という楽曲から推測されるように、現代の国家と難民の問題が裏に潜んでいるようだ。
 楽曲、演奏、役者の全てが魅力的で、思わずCDを買った……話は書いたか(笑)。素晴らしい出来でした。>

 チャヴキンは「developed with」ともクレジットされているので、舞台化に当たってはアナイス・ミッチェルと共同でアイディアを出し合ったものと思われる。振付デイヴィッド・ニューマン。

 出演者は、冥府王夫妻のパトリック・ペイジ、アンバー・グレイ以外はブロードウェイに到るまでに(途中、カナダ公演、ロンドン公演を経ている)みんな替わっている。
 オルフェウス役は、後に2019年版『Oklahoma!』のカーリー役を演じることになるデイモン・ダウノ(『Brief Encounter』)。ユーリディス役はジミー・クリフの娘さん、ナヴィヤ・ビー。ハーミーズ役マット・サルディヴァー。ザ・フェイツ役、ルル・フォール、ジェシー・シェルトン、エリカ・スウィーニー。